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明日が楽しみでなかなか眠れなかった
また楓達のライブを観る事が出来るんだ
「?」
誰だろう
こんな深夜なのに誰かの気配がした
和海のウサギ小屋はもう誰もいないはずだしおかしい
「繭?」
「誰かいる」
「えっ?」
このタイミングで考えられるのは・・・
「講堂!」
「繭?」
部屋を出て、講堂に向かった
和海が大人しいのには意味があるはず
「どうしたの?」
「照明を」
「うん」
明るくなった講堂を見た瞬間、怒りに震えた
「やられたね・・・」
楓はそれだけ言ってため息をついた
ステージの上はめちゃくちゃで、楓達の機材が全て壊されていた
「困ったな、予備の機材はスタジオにあるけどアンプが無い」
「・・・・・・・・・」
「繭、ごめんね」
「楓は悪くない、明日ライブをやる」
「無理だよ、ドラムも見事に壊されてるし準備する時間が無い」
「・・・・・・・・・・」
「でもよかった、ギターを置いていたら壊されていたね」
「楓」
「みんなに伝えるよ、先に行くね」
「ライブは3時から、諦めては駄目」
「俺達のアンプは特注品だから無理なんだ」
「僕が探す」
「えっ?」
「楓はちゃんと寝て」
「ダメだよ」
「僕はステージで演奏する楓が観たい!」
「繭」
急いでヘリポートに向かい全国のアンプを探した
無理だと言われたけどヘリで探せばどこかにあるかも知れない
ー社長、アンプが見つかりましたが仙台ですー
ーこのまま向かいます、貴方は僕が言ったものを全て集めて学園まで運んで下さいー
ーかしこまりましたー
スクリーンはすぐに用意出来る
他の機材も揃うはず
「仙台へ」
「しかし天候が」
「行って下さい」
「わかりました、揺れるので気を付けて下さい」
間に合うか?
天候が悪くなり、途中で足止め
止まない雨を見つめ、拳を握りしめた
「社長、オッケーが出ました」
「お願いします」
アンプがある所まではヘリでは行けない
トラックを手配して山道を走った
山を抜けると小さな繁華街が見えて来た
「ここですね」
「急いで下さい」
今は使われていないライブハウス
マスターの趣味で使われないままの同じアンプがここにあった
「買い取らせてください、言い値で結構です」
「いやいや、使っていなかったし差し上げますよ、こんな所まで取りに来たと言う事はこれからも大切に使ってもらえるはずです」
「ではこれを」
「本当に結構で・・・」
小切手を渡し、急いでヘリまで戻り学園に戻った
ドラムも午前中に届くように手配した
「11時・・・」
あと4時間
絶対間に合わせる
「楓!」
「繭」
「これを」
「信じられない・・・」
「早く!」
「わかった」
「ドラムはもうすぐ届きます」
「ありがとう」
僕は昨日の楓達の頑張りを見て来た
だから絶対許さない
講堂にカギをかけて最初からの作業
でも、昨日よりスタッフも増えていたので間に合いそう
「繭、ナイスファイト」
「翔」
「メンバーはみんな来てるぞ・・・楓はお前を信じたんだな」
「うん」
「行かないのか?」
「今は邪魔出来ない」
「だな・・・で、どうする?」
「お返しはする」
「オッケー」
そして何とか間に合った
ステージも昨日と同じセットが組まれていた
「楓」
「繭、ありがとう」
「うん、それよりアンプ」
「状態もいいよ」
「楓達の物」
「えっ?」
「だから・・・」
「だから?」
「だから僕がペイントしたい」
「うん、いいよ」
楓達が準備している間に僕はdahliaのペイントをした
時間が無いけど慎重に・・・
そしてこっそり描いたものは内緒
「さすが繭、センスいいね!」
「換気しないと」
「だな、これ用意したけど」
「ありがとう」
翔が大型扇風機を用意してくれた
これなら乾燥時間が短縮出来るはず
「しかし損害額いくらだよ」
「物の金額なんかじゃない」
「ん?」
「昨日、楓達はすごく頑張ってた・・・それをぶち壊した」
「かなり怒ってる?」
「うん」
「好きにしろ」
「する」
僕は怒っている
でももうすぐライブがはじまる
「翔、最前列!」
「おいおい、応援ライブなのに」
「行く」
「わかったよ」
僕の指定席は楓のすぐ目の前
ライブが始まり、あの時の楓が目の前にいた
楓は僕に気付いて微笑んでくれたんだ
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