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楓はメンバーを送りに行った
それを見届けた後、僕は金属バットを持って寮を出た
「おいおい、お誘いは無いのか?」
「翔、氷龍」
「俺も行くよ」
「燕羽」
「しかしここまで金属バッドが似合わないとは」
「これもある」
「おいおい、いつの間に」
「さっき作った、破壊力はそこそこ」
「そこそこねぇ」
僕達はウサギ小屋の前に立ち、大きなドアを見つめた
「行く」
「ああ」
バットで扉を壊し、中にいる裸のウサギを外に出した
「成程、そう来ましたか」
「黙れ」
装飾品を叩き壊し、窓ガラスを割った
「俺、やってみたかったんだよね~」
そう言いながら花瓶を割っている翔
「結構頑丈なんだよね、防音だし」
燕羽は柱を殴りつけていた
「このまま死ぬか?」
「氷龍、このメンバーでは逃げるしかなさそうですね・・・繭、許しませんよ」
「・・・・・・・・・・」
躊躇いもせず、ライターで火をつけダイナマイトを投げ捨てた
「うはっ!木っ端みじん・・・繭、火薬の調合間違えたんじゃないのか?」
「かもね」
こんなものでは気が済まない
そのまま会長の特別ルームへ向かい同じように叩き壊した
「あのさ、繭」
「何?」
「これ、お前が使うかも知れないんだぞ?」
「悪趣味すぎて反吐が出る」
「言葉も悪くなったな~、笑える」
綺麗に消えたウサギ小屋と専用のルーム
学園側からは何も言って来なかった
多分、和海が揉み消したんだろう
生徒も寮から誰も出て来なかった
手に出来た豆を見つめて消毒しようとした時、楓が戻って来た
「見せて」
「大丈夫」
「早く」
「・・・・・・・・・」
楓は豆を見て全てを把握したらしい
「無茶しないの!怪我でもしたらどうするの?」
「大丈夫」
「戻ってきたらなんか埃っぽいし、裸のウサギを見かけて何となく想像はついたけど」
「許せなかっただけ」
「ありがとう」
「うん」
楓は手に包帯を巻いてくれた
少し大袈裟だけど嬉しかった
「金属バッドね・・・」
「えっ?」
「繭が描いたんでしょ?バットを持った男の子のイラスト」
「気付いたの?」
「もちろん、あれが繭だとしてもバットは何だろうって考えてた」
「こういう事」
「だね」
「楓」
「ん?」
「すごくカッコよかった」
「ありがとう」
「もし」
「うん」
「もし僕がチョーカーをプレゼントしたら・・・」
「それは受け取れないかな、ごめんね」
「わかった」
僕はまだ千裕に勝てないんだ
それがすごく悲しかった
「楓」
「何?」
「寝る」
「おやすみ」
「一緒に寝る」
「わかった」
僕だってすごく怖いんだ
頭に触れられるのが怖くてたまらない
それと同じなのかな
「楓」
「どうしたの?」
「僕と千裕はそんなに違うの?」
「違うよ」
「・・・・・・・・・・」
「同じな訳が無いでしょ?人間なんだから」
「うん」
それはどういう意味?
悪い意味?
「ずっと千裕を忘れないの?」
「忘れてしまったら可哀想・・・俺達の思い出も否定する事になるしね」
「・・・・・・・・・」
楓達の思い出の中に僕はいない
そして知らない
それが堪らなく悔しくて悲しかった
仕方が無い事だけど・・・
「僕が現れない方がよかった?」
「どうして?」
「思い出すんでしょ?」
「・・・・・・・・・・・」
「迷惑?」
「そんな事は無いよ、でもね」
「うん」
「まだ繭と千裕が重なるから・・・繭に悪いなって思う時がある」
「・・・・・・・・・」
「繭の強さが千裕にもあったらあんな事にはならなかったのかもね」
「僕は強くない」
「俺も強くはないよ」
「僕は楓を束縛してる?」
「してない、俺そう言うの苦手だしね」
「でも」
「そろそろ寝た方がいい、疲れたでしょ?」
「うん」
これ以上入り込めない壁があった
「楓」
「ん?」
「どこにも行かないで」
「行かないよ」
「そうじゃない、冬矢とも遊ばないで」
「困ったな」
「自分を傷付けないで、約束して」
「繭」
上半身を起こした楓が僕を見つめていた
「それは約束出来ない、俺だって男だしね」
「なら僕が楓のウサギになる」
「へぇ・・・」
楓は僕の頭を撫でようとした
僕はすごく怖かったけど必死に我慢した
「頭も撫でられないウサギは必要ないね」
「楓」
「それに繭はそんな事をしては駄目」
そう言いながら楓は背中を向けて眠ってしまった
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