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君は光
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「ついにこの日がやって来た、繭覚悟は出来ているな?」
「うん」
「今日の投票で全てが決まる、やる事はやった・・・結果がどうであれ俺達は最後まで笑おう」
「うん」
ライブ効果があったのかはわからない
でも出来る限りの応援はしたつもり
「行く」
「よし、行こう」
生徒会室に向かい、繭を見つめた
これで全てが決まる
このまま動物園で終わるかは次期会長次第
取り壊されたウサギ小屋
でもすぐに新しい小屋が出来るだろう
「待っていましたよ」
「黙れ」
「これで全員揃いましたね、では投票を始めましょう」
「和海、今回の票もその場で開票してね・・・すぐに」
「わかりました」
「それと」
「まだ何か?」
「開票するのは和海以外でお願いね」
「・・・・・・・・・」
「それぐらいいいだろ?ダメな理由がない限り」
「わかりました、では書記の二人にお任せします」
「オッケー!始めよう」
こうして投票が始まった
和海は離れた席から様子を見ていた
運動部はやはり冬矢に流れていた
このままだと冬矢が会長になる
「では、美術部部長」
「・・・・・はい」
こいつも票は望めない
ライブにも来なかったしね
「お願いします」
「これでいいですね?」
「・・・・・・はい」
「彩流寺 繭君」
えっ?
「僕は美術部です、汚れた心では美しい絵など描けない、だからこれはお返しします」
「よろしいのですか?」
「僕は次期会長に期待します」
へぇ・・・
みんなの前で賄賂を返した訳ね
もしかしたら逆転の可能性も
「演劇部部長」
「はい」
「彩流寺 繭君」
やはりね
そして文化部の票は繭に入り、俺達の投票も終わった
「マジかよ・・・」
この時点で票は同じ
残るは最後は冬矢だけ
悔しいけど仕方が無い
もう勝ち目など無いのだから
和海は嬉しそうに俺達を見ていた
ムカつく顔でね
「さぁ、冬矢・・・投票を」
「ああ」
「クソッ!」
悔しいけどどうにもならない
俺達は和海に負けたんだ
用紙を渡し微かに微笑んだ冬矢
「これでよろしいのですか?」
「ああ、間違いない」
「彩流寺・・・」
冬矢も苗字は同じ
「繭君」
「えっ?」
「マジかよ!冬矢どうして?」
「冬矢・・・貴方は何を」
「和海、もういいだろ?俺は疲れた」
「冬矢!」
「何も出来なかった繭と翔へのせめてものお詫びだ」
「ふざけないで下さい!」
「和海、時期会長が決まったんだ・・・紹介してよ」
「・・・・・・・・・・」
「投票の結果、次期生徒会長は彩流寺繭君に決定いたしました・・・ご挨拶をお願いします」
「動物園をぶっ壊す!以上です」
その挨拶はとても新鮮で、歓声が上がった
繭・・・
すごく輝いてる
「ではこれで解散いたします、この結果は生徒総会で発表いたします」
和海は冷たい表情で部屋を出て行った
冬矢は大丈夫だろうか
「繭、おめでとう」
「やったね!期待してるぞ」
「翔」
「ん?」
「副会長は二人」
「だな」
「翔と冬矢で」
「そっか・・・わかった」
「うん」
こうして選挙も終わり、ようやくのんびりした時間が戻って来た
繭は毎日忙しそう
今までの記録を全て見直し、新しい生徒会の為に頑張っていた
俺は・・・生徒会とかどうでもいいかな
久しぶりに時計塔に向かい、窓から見える夕陽を見つめていた
「やっぱりここか」
「葵」
「選挙も終わって暇になったんだろ?」
「まぁね」
「ある噂が流れているのを知ってるか?」
「噂?」
「金属バットを持った幽霊が夜中に徘徊していると言う噂」
「へぇ」
「それってさ、繭だろ?」
「どうして?」
「あのイラスト」
「気付いてたの?」
「偶然見つけたんだけどさ、でもどうして繭が?」
「ウサギ小屋にバットを持って乗り込んだらしいよ」
「マジでかっ!」
「翔達もいたけどね」
「大した度胸だな・・・すごいよ」
「それで、何が言いたいの?」
「何も」
「そう」
煙草を渡し、ライターを投げた
葵は煙草をくわえ、火をつけた
「千裕なら許すんじゃないかな」
「何の話?」
「繭」
「・・・・・・・・・・」
「どうして受け入れようとしないんだ?」
「どうしてかな」
「似ているからか?」
「違うね」
「俺には教えろよ・・・寂しいだろ?」
「眩しすぎるんだよね」
「どうして?」
「俺はすぐに先の事を考えてしまうから」
「だからどうして?」
「繭はこの先全く別の人生を歩むんだよ?俺はそこまで着いて行けないから」
「だけどさ」
「この話はもうおしまい」
「お前が変わらないでどうするんだよっ!!」
「俺は誰かを護るなんてもう出来ないから」
「勝手にそう思ってるだけだろ?」
「そうかもね、繭は俺の助けなんて必要無いしね」
「そう言う事を言っているんじゃない」
「夕陽が沈んだから戻ろう」
「楓」
心が揺らいでいるのは知っている
だけど好きになってもずっと一緒にはいられない
そんな未来が待っているのに自分から悲しい沼には入れない
また沈んでしまったら俺は二度と浮かび上がれないような気がして
だから綺麗な思い出だけを残したいんだ
キラキラと輝いている思い出だけをね
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