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「楓、朝」
「んっ・・・おはよう」
「モーニング行く」
「えっ?」
「行く」
「わかった、行こう」
繭はどこにいても繭だった
三食きちんと食べるらしい
「ここのパンは美味しい、それだけしかいい所はない」
「待ってて」
パンだけって・・・繭らしいけど
いろんな種類のパンを持ってテーブルの上に置いた
「いただきます」
相変わらずハムスター・・・
パンを食べる速度は誰にも負けないかもね
そのハムスターの動きが止まった
「彩流寺様、おはようございます」
「パンだけは美味しいですね」
「ありがとうございます」
そう言う事ね
常に神経を尖らせているのかな
そしてまた食べだした
見ていて飽きないね
「この後会社に行こうか?」
「グッズは会場で買う」
「次のライブは来月だよ?」
「知ってる」
「だね」
それなりにこだわりがあるらしい
と言うか、グッズは繭がデザインしたものなんだけど・・・
「車で帰る」
「うん」
同じ車に乗り、学園まで帰る事になった
相変わらずピカピカの車だね
「繭」
「何?」
「遊園地に行こうか?」
「遊園地・・・」
「デート」
「デートする」
「うん」
遊園地で車を降り、初めてのデートをした
でもすぐに気付かれ、写メを撮られた
鬱陶しいね
「繭?」
「楓が危険」
「大丈夫だよ」
「みんな見てる」
「見せておけばいい」
「・・・・・・・・・」
手を握り、そのまま歩いた
「チケットを買って来るね」
「楓」
「ん?」
「行こう」
「うん」
繭はそのまま歩き出し、チケット売り場で名刺を渡した
「もしかしてここは」
「僕の会社の遊園地」
「じゃ、もう飽きてるね」
「来るのは初めて」
「そう」
気にしたら負けだね
「あれに乗ろうか」
「過激」
「怖いの?」
「怖くない」
俺はなめていた
物凄く気持ち悪い
でも繭は笑っていた
「楓、面白かったバイキング」
「俺は気持ち悪い」
「次あれ」
「うん」
その後乗ったものは絶叫系ばかりで俺は吐きそうだった
「少し休憩ね」
「うん」
ベンチに腰掛け、綺麗な空を見上げた
だって目を閉じると吐きそうで・・・
「次はあれ」
「地獄」
繭にコーヒーカップを思い切り回されて死ぬかと思った
俺は普通のデートのつもりだったのに、繭は全ての乗り物に乗った
仕事熱心なのかな?もう泣きそう・・・
「最後はあれ」
「あれなら行けそう」
観覧車に乗り、沈む夕陽を二人で見ていた
遊園地がライトアップされてとても綺麗
こんな景色もあったんだね
「あっ・・・」
外を眺めていた繭が急に俯いた
知り合いでもいたのかな?
でも違っていた、カップルがキスをしていただけ
「楓、どうして笑ってるの?」
「繭は大人なのかそれとも子供なのかと思って」
「子供じゃない」
「そうだね、じゃ・・・大人のキスをしようか」
「・・・・・・・」
優しく頭を撫でながら抱きしめた
すごく小さな体
でも比べたりはしない
繭は繭なんだから
絡めた舌と必死に背中に回した小さな腕
そっと唇を離し、顔を見つめた
真っ直ぐに俺を見つめる瞳
嘘はすぐに見抜かれてしまいそうな瞳だった
「楓」
「ん?」
「もう遊ばない?」
「えっ・・・」
「もう遊ばない?」
「遊ばないよ、繭から見放されるのは辛いから」
「うん、じゃ僕はキスの練習をしてくる」
「こら!どこで誰と練習するの?」
「間違えた、キスの練習を毎日する」
「誰と?」
「楓と」
「それなら許す」
観覧車が地上に降りるまで、何度もキスをした
繭の上達には驚いたけど、これも才能なのかな?
夕暮れ時の遊園地はおとぎの国のようだった
キラキラ光るイルミネーションの中で、俺達は手を繋ぎながら笑っていた
「楓」
「どうしたの?」
「これやる」
「プリクラね・・・いいよ」
「こっちのやつ」
「うん」
「むこうのやつ」
「撮り過ぎじゃない?」
「やる」
「うん」
まさかこれを部屋の壁に貼られるとはこの時は想像もしていなかった
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