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部屋に戻ると繭が可愛く怒っていた
「繭」
「・・・・・・・・・」
「俺にも怒ってるのかな?」
「楓にバカって言った」
「それはいいよ」
ベッドの中で丸くなって動かないし本当に小さい・・・なんて言ったら殺される
「楓」
「ん?」
「僕は弟?」
「違うよ」
「弟?」
「違う」
「・・・・・・・・・」
「繭、顔を見せて」
「・・・・・・・・・・」
素直に顔だけ出した
可愛い・・・
巣穴から顔だけ出してるハムスター
「僕は楓の弟としか思われない、ずっと」
「他人がそう思っているだけで気にするなんて繭らしくないね」
「だけど僕は」
床に膝をついてキスをした
「弟にこんな事はしないでしょ?」
「・・・・・・・・」
「ねっ?」
ベッドから抜け出した繭はいつもの繭に戻っていた
「ディナーの時間」
「だね」
「行く」
「行こう」
機嫌が直ったらしい
いつものように手を繋いで食堂に向かった
「繭様、来週僕の屋敷でお茶会があるのですが」
「行きません、会社への融資もお断りします」
「繭様、経済学を・・・」
「お断りします」
「繭様、来月オペラへ」
「好きではありませんので、それから新しい事業の件は却下です」
見事に全滅
「楓様、ポスターにサイン・・・」
「死ね!」
「えっ?」
繭・・・
見事な二重人格
「楓、今夜のメニューはローストビーフとコーンスープとポテトサラダ」
「座ってて」
「うん」
いつものようにプレートを持ち、テーブルに近付いた
「繭、お待た・・・・・えっ?」
「残念です、お気に入りを傷付けるつもりでしたのに」
「繭!」
和海は今朝のお返しに俺を刺そうとした
でも、繭が庇って・・・腕から血が・・・
「千裕・・・」
あの時の光景がよみがえる
腕を潰された千裕
真っ赤な血に染まっていた
「楓!」
「和海、ふざけるなよ?」
そう言って和海の頬を殴る音が聞えた
ざわつく声
俺を呼ぶ声
頭が痛い、そして耐え切れずそのまま意識を失った
「繭、楓はどうだ?」
「まだ目を覚まさない」
「お前は?」
「僕は平気」
「そうか」
俺達は怪我に慣れているから多少縫ったとしても大怪我ではない
「楓が」
「うん」
「千裕って言った」
「お前が腕から血を流していたからだろ?」
「楓の心の傷は治らない」
「そんな事は無い」
「翔の拳・・・痛そうだね」
「思い切り殴ったしな、蹴った方がよかったな」
「和海は避けない、でもダメージも無い」
「ホント、ムカつくよな」
「僕は繭なのに」
「ああ」
「僕は繭なのに」
「そうだ、だから気にするな」
「楓はまだ千裕が大切」
「違う、フラッシュバックしただけだ」
「・・・・・・・・・」
「ああするしかなかった、それが楓を傷付けた」
「違うよ、お前は楓を護ったんだ」
「だけどっ」
「いい加減にしろ!お前達は始まったばかりだろ?人の記憶は簡単には消えないんだよ」
「・・・・・・・・・・」
「だけど今の楓は繭の事しか見ていない、わからないのか?」
「・・・・・・・・・・・」
「考えてみろ、楓が遊園地に行くような奴に見えるか?プリクラだってそうだ、繭が喜ぶからだろ?」
「うん、わかった」
「一人で大丈夫か?」
「大丈夫・・・翔」
「ん?」
「ありがとう」
「いいよ、和海をもう一発殴ってから寝る事にする」
「2発」
「了解」
部屋を出て、静かな廊下を歩いた
「翔、和海は談話室にいる」
「うん」
俺達は会話での内容は実行する
昔からそうだった
言葉に出した事を聞き流したりしない
全て実行する
だから出来ない事には返事をしない
出来るから返事をする、それだけの事
談話室に向かい、本を読んでいる和海に近付いた
「翔」
そのまま2発きっちり殴りつけた
俺が本気で殴りつけても和海には大したダメージは無い
うまく避けるのがムカつく
「二度と同じ事をするな・・・殺すぞ」
「とてもゾクゾクする表情です、殴られた価値はありましたね」
「俺を煽っても意味は無い、わかるだろ?」
「ええ」
「氷龍、行くぞ」
「ああ」
さすがに骨までいったかな
めちゃくちゃ痛いんだけど・・・
「翔」
「何?」
「手を」
「いったい!!お前、加減ぐらいしろっての」
「折れてるな」
「早く何とかしろ」
「ああ」
氷龍に治療してもらい、昔を思い出していた
成長しても怪我ばかりだな俺達
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