アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
最近の繭は夜も余り眠る時間が無いみたい
忙しいのはわかるけど心配だね
授業をサボって昼寝をしていると翔がやって来た
「やっぱりここだった」
「何?」
「最近、繭はちゃんと寝てる?」
「余り寝ていないかな」
「そっか・・・」
「どうしたの?」
「あいつ体調が悪くても絶対言わないし、顔色が悪いから心配なんだよね」
「そう」
「だから楓が教えてあげてよ」
「倒れ方?」
「違う!甘え方」
「甘え方?」
「具合が悪くなると人間って甘えたくなるだろ?」
「風邪の時みたいに?」
「そそ!だけどそれを繭は知らないからさ」
「確かに怪我をしても痛いとは一言も言わないね」
「そう言う奴なんだよ、昔からね」
「昔から・・・」
「弱点は絶対人には見せないんだ、だからいつも一人で耐えてるんだよね」
「わかった、気を付けておくよ」
「うん、頼んだぞ」
翔はそのままグランドに向かい、俺はぼんやり雲を見つめていた
弱点か・・・俺には理解出来ない世界だけどずっと繭は一人で耐えて来たんだね
放課後、生徒会室に行くと繭はもう仕事を始めていた
確かに顔色が悪いような気がする
今薬を飲んだ?
そう見えたけど気のせいかな?
「繭」
「何?」
「顔色が悪いけど大丈夫?」
「平気」
「そう」
繭が動かしていた手を止め、万年室をドアに投げつけた
「ノックをしようとしたところです」
「消えろ」
今度は和海がドアを開けて刺さっていた万年筆を投げ返した
「繭!」
「会計報告なら終わった、だからお前は用はない」
「そんな事で来るわけが無いでしょ?」
受け止めた万年筆を投げて冷たく言った
「用事は無い」
「私があるのです」
万年筆って武器だっけ?
「あのさぁ~、ドアを傷付けるなって!さっさと用事を言え」
見兼ねた翔が万年筆を取り上げた
「次の生徒総会で貴方に生徒会長の座をお譲りするのですが、花束はこちらで用意しますので」
「出て行け」
「では、来週提出の書類は遅れないように」
「クソ忙しい時にあの野郎・・・氷龍」
「ああ」
話が全く見えないんだけど
「どういう事?」
「要するに来週の提出を遅らせる為に仕組んだって事」
「ごめん、よくわからないかな」
「花束と聞けば怪しいと思うだろ?」
「怪しいかな?」
「俺達の場合、和海が花束?武器の間違いだろ!って考える」
「デンジャラス」
「この間の件もあるし、それを確認する為に氷龍が花屋を調べに行く、人手不足なのに一人消えたら更に書類は大幅に遅れてしまう」
「実際どうなの?」
「わざと和海が報告を遅らせたんだよ、一週間かかる仕事を3日でやれと言っているようなものだ」
「だから繭は毎日仕事を?」
「俺が出来る事は分け合えるけど出来ない物の方が多いんだ」
「パソコンに入れたデータも消去されてたし、プリンターもぶっ壊れてる」
「そう」
「だから部屋を別にして仕事をしているってわけ」
「和海って・・・」
「ん?」
「意外と女々しいね」
「女々しいと言うか、繭の会長挨拶の時に絶対何か仕掛けてくるはず、でも今はこの書類を完成させないとな」
「だね」
話をしていると突然火災ベルが鳴った
「で、これも和海のうさぎの仕業だ」
「火災ベル?」
「これが鳴ると副会長がベルの場所を確認に行かなければいけない、時間も取られるし面倒臭い」
「そう」
「翔、早く」
「だな」
「と言う事で行って来るから書類を見張っておいてね」
「わかった」
やる事がいちいち細かいし女々しい
ソファーに寝転がり、騒いでいる生徒達の声を聞いていた
騒いでいる奴はせいぜい2,3人
みんなの動揺を煽ってるって事ね
煽りが下手だな・・・そんなんじゃ客はノレないね
そして・・・
意外と仕事が早い
俺に気付いていないらしい
窓から侵入して来たのは確か生徒会の会計
そっとテーブルの上に置かれていたペーパーナイフを取り、パソコンに近付いた瞬間ナイフを投げつけた
「ひっ!」
「次は本物を投げるよ?」
「嘘はいい、ナイフなんてあるわけないだろ?」
ところがあるんだよね
繭達は色々なところに危険な物を隠していたしね
「それ以上動かない方がいいと思うけど」
「これを落とせば僕の勝ちだ、和海様に褒めてもらえる」
その一言が気に入らなかった
ナイフを持ち、壁に突き刺した
「ひぃ!」
「あのさ、なめないでくれる?手元が狂わなかったら本当に刺さってたね」
「ど、どう言う意味だ!」
「バカなの?それとも嘘ばかりの計算をし過ぎてすこーし頭のネジがずれたのかな?」
「ひっ!」
ナイフを投げて新しいナイフを掴んだ
「また手元が狂ったみたい・・・次は外さないようにしないとね」
「やめて!!」
あっ・・・本当に手元が狂っていたらしい
投げたナイフが首をかすめこいつの首輪が床に落ちた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
63 / 169