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友達だと思っていたのにね
でも、そんな概念がおかしいのかも
人間は甘い汁が好き・・・わからない事はないけど俺にはやはり理解出来ない
「でも、あの時氷龍もいなかったよね?」
「あいつは見張りをしていたんだ」
「成程」
確かに俺達と行動する事は余りない
俺は複雑すぎる糸に絡まれてしまったみたい
「じゃ、移動して話を続けようか」
「うん」
黙って翔の後をついて歩き、大きな木の前で立ち止まった
温室の中で一番大きな木
繭は大きな葉っぱをかき分けて何かを押した
「まさかのハイテク」
「ここから先は獣族のテリトリー」
「繭は鳥では?」
「生まれた時はモズだったけど、今は和海のおかげで立派なハリネズミ」
「そうだったね」
大きな木が移動して地下へ続く階段が現れた
その階段を降りると、明るい緑に包まれた
「ここの照明は上の温室と同じ作用があるんだよね~、だから光合成も出来る」
「別世界だね」
緑の中には色とりどりの花が咲き乱れ、甘い香りの果実が実っていた
「ちなみにここには3年分の食料と水がある」
「シェルターみたい」
「まぁね、でも今は俺達の秘密基地」
「お金をかけた秘密基地だね」
「適当に座れ」
「うん」
何だか不思議
地下なのに蝶まで飛んでるし、空気も重く感じない
緑色のソファーに腰かけ、しばらく景色を楽しんだ
「じゃ、今度はコウモリをどうやっておびき寄せようか?」
「また仲間にするの?」
「暇つぶしかな・・・氷龍が来たね」
翔がそう言うと氷龍がやって来た
「氷龍、仕事だ」
「休む暇も無いのか?」
「今度は座って出来る仕事だから」
「そう言う問題じゃない」
「まぁまぁ、じゃこれ」
そう言って高級そうな和紙で出来た便箋を渡した
「お前の考えはもうわかった・・・ある意味犯罪だな」
「俺達はみんな黒だろ?そんな事も忘れたのかよ」
「だな」
氷龍はその和紙に偽の遺言書を書いた
ものすごく達筆
そして読めない
「繭」
「うん」
繭はその遺言書に印鑑を押した
「それも偽物?」
「だな、でも氷龍の腕ならパスポートを偽造しても絶対バレない」
「それが本職だったりして」
「たまに偽パスポートを取り調べる為に呼ばれるんだよ」
「ようするにプロの犯行を見抜くと言う事かな」
「そう言う事だ」
世の中にはいろんな人間がいるけど、明らかにここにいる人間は普通では関りすら持たない人間
その中に俺がいる事が何となく不思議だった
「氷龍、火」
「ああ」
ライターの火でロウソクを溶かし、繭が俺を見つめた
「何かな?」
「チョーカー」
「これ?」
「うん」
よくわからないけどチョーカーを外し、繭に渡した
そのチョーカーの留め金部分を重ね、蝋の上に押し付けた
もしかして俺はものすごいものをもらったと言うか、預けられてるのかな?
「それは?」
「この封筒の送り主は由緒正しい家系の当主だと言う事を証明する為のシグネットリング」
「それは何だろう」
「本来ならリングなんだけどあいつの了承を得て加工したもの」
「それも偽物?」
「これは本物」
「えっ・・・」
嘘でしょ・・・
「翔があいつから実印とこれを手に入れた」
「和海達は持っていないけどね~」
「燕羽ならこれが本物か偽物かは見ればわかるはず」
「どうして実印は本物を使わないの?」
「和海の手に渡ったらどうせ消されてしまうし、この封蝋を見れば和海も信じると思う、多分」
繭はハンカチで蝋を拭き取り、また俺の首につけた
「ものすごく首が重く感じて来た」
「実印は盗まれてしまう可能性が高いから俺がバレない所に隠した、そしてもう一つの証明になる物をお前に託したって事かな」
「・・・・・・・・・・」
「楓が嫌なら外してもいい」
本当に怖い子
全て俺に託すなんてね
「外さないよ、でもね」
「何?」
「もし、和海に気付かれたらどうすればいいのかな?」
「気付かれない、楓が言わない限り」
「わかった」
確かにそんな大切な物を持ち歩くとは考えられないか・・・
「これで準備は出来たから、燕羽と適当に遊んでやろう」
「うん」
「生徒会の仕事も今は無いし、繭の怪我が完治するまでの間お友達ごっこを楽しもう」
「楓」
「ん?」
「これは秘密、葵達を巻き込まない為にも言わないと言う約束」
「俺は巻き込んでもいいの?」
「うん」
「わかった、指切りね」
「指切り」
葵達は巻き込むつもりはないし、何も知らない方がいい
こうしてどうでもいい情報をわざと燕羽の前で漏らし、近付いて来るのを待った
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