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「和海様、これを」
燕羽には期待していなかったが、差し出した携帯を見た瞬間考えが変わった
「本物ですよね?」
「・・・・・・・・・」
まさか繭が持っていたとは・・・しかも本物
何が書いてあるんだ?
まさか繭にも財産を?
冗談じゃない
「いい子でした、では貴方の兄をわが社の部長に」
「ありがとうございます」
出来が悪い兄だがある程度の地位を与えてやろう
「和海様、どちらへ?」
「みんな水を飲みましたね?」
「氷龍は出掛けていたのでいませんでしたが翔と繭と楓は飲み干すのをこの目で確認しました」
「わかりました」
「あの、どちらへ?」
「繭の部屋です」
「・・・・・・・・・」
「燕羽も来なさい」
「はい」
とにかく遺言書を奪う必要がある
何が書かれていたとしてもね
繭の部屋のドアを開け、眠っている繭の顔を見つめた
「黙っていれば可愛いのに・・・でも嫌いですけど」
そっと頬に触れ、反応を見た
繭なら触れただけでも攻撃してくるはず
薬が効いているのか?
「あれはどこですか?」
「ベッドの下です」
「取りなさい」
「はい」
「カギは?」
「ポケットの中です」
「それを」
「はい」
カギを受け取り箱を開けた
「どうでしょうか?」
やはり本物
父親しか所有出来ない印がしっかりと押されていた
迷う事など無い
繭が預かっているのだから紛失したとしても繭の責任になる
俺には何の害も及ばない
その場で封書を開き、文字を確認した
この文字は父親の文字
しかし内容を読んで怒りがわいた
「繭に全てを・・・繭に?」
「あ、あの」
「そんな事が書かれていたんだ」
「繭」
「驚いた、残念だったね和海・・・僕が18になったらお前をこの世から抹殺してやる」
「こんな・・・こんなもの」
「全てを奪う権利が僕にはあるっていう事、全てとはそう言う事」
「あ、あの・・・俺失礼します」
燕羽など今はどうでもいい
今はこれさえ消えれば何とかなる
時間ならまだ残されている
繭を殺す時間ならまだある
「こんなものたかが紙切れ」
「そうすると思った」
「もちろんです」
遺言書を破り捨て、部屋を出た
忌々しい・・・
父親は汚らわしい愛人の子供に全てを譲るだと?
ふざけるな、俺が許さない
「繭?」
「シャワー」
「えっ?」
「和海に触られた」
「そう」
多分、繭にとっては耐えがたい我慢をしたんだろう
「おーい」
翔だ
「どうぞ、繭は今シャワー」
「来たみたいだな」
「来たね」
「燕羽もいたか?」
「いたけど遺言書の内容を聞いて出て行った」
「明日が楽しみだな」
「でも、燕羽をどうするつもり?」
「取り合えず一仕事してもらう」
「不憫だね」
「仕方が無いだろ?信用なんか出来ないし」
「そうだね」
そして繭が戻って来た
「繭、和海の顔見たのか?」
「面白かった」
「だろうな・・・でも」
「いい」
「本当に?」
「いい」
「わかった」
「ごめん、意味がわからないんだけど聞いてもいい?」
「繭は自ら和海に狙われるように仕組んだのが今回の本当の作戦」
「えっ?」
「楓には何もさせない」
「だけど、ここに来たのは」
「最初は監視する為、でも和海は楓を襲った・・・どんな理由であれ僕は許さない」
「だから繭は和海にわざと殺されるためにここまでやったんだよ」
「燕羽の為じゃなかったの?」
「それはついでだ」
「繭・・・俺は大丈夫だよ、どうしてそんな危険な事を」
「大丈夫、僕が先に殺すから」
大きな瞳で俺を見つめた
あの揺るぎない真っ直ぐな瞳で
「・・・・・・・・・・」
「ここにいたのか、面白くない情報だ」
氷龍がやって来た
「面白い情報ならいいのに・・・で?」
「和海が卒業したと同時にここの理事になる」
「だと思った」
「繭が18になる前に殺すつもりだろうな」
「後一年」
「行動を起こすのはまだ先だとは思うが、園長は続けると言う事だな」
「疲れる」
「だよな」
和海が理事に?
暇人過ぎでしょ?
でも、繭を殺せば全てが手に入る事を考えればそっちを選ぶんだろうね
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