アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
「夕陽が眩しい」
けっこう寝てたみたい
体を起こし、夕陽をぼんやり見つめていた
「和海様、卒業したら理事になるって本当ですか?」
「そのつもりです」
「嬉しいです、卒業されたらもう会えないかと思っていたので」
「可愛い事を言ってくれますね」
「本当です」
燕羽と和海の話し声が聞えた
屋上から地上を見ると真下で会話をしていた
もう和海のうさぎに戻れたのかな
繭があの調子では俺達の友達には戻れないけどね
「楓」
「繭」
「夕食の時間、今夜のメニューは・・・」
「行こうか」
「うん」
「もしかして捜していたの?」
「楓がいる所は想像がつく」
「そう」
「和海達の会話、聞えた?」
「関係ないんじゃない?それとも気になるの?」
「早く戻ろう」
「そうだね」
繭が気にしないのなら俺も気にするのはやめよう
二人で食堂に向かい、いつもの席に着いた
「あっ、いた!繭、捜してたんだ」
「翔、どうしたの?」
「来てるんだよ、まじうざい」
「来ている?」
「行けば分かる」
「翔、大大丈?」
「まぁな、で・・・どうする?」
「仕方が無い、どうせくだらない用事だと思う」
「だな」
あいつ?
誰だろう
「楓、すぐに戻る」
「わかった」
詳しい事までは教えてくれないのかな
「楓、先に食べよう」
「でも、すぐ戻るって」
「ん~、すぐには戻れないと思う」
「でも」
「弁護士が来たんだよ」
「それって」
「遺言書を預かっている弁護士、だから適当には扱えない」
「どうしてこんな所まで」
「暇なんだろ?しかもうざいんだよな・・・さすがあいつの選んだ弁護士って感じ」
「そう」
食事が終わっても繭は戻らなかった
部屋に戻り、窓から見える枯れ葉の景色をぼんやり見つめていた
「楓、まだ起きていたの?」
「繭」
「ごめん、翔に話がある」
「わかった」
「先に寝てて」
「うん」
戻って来たと思ったらまたすぐに出て行ってしまった
俺ではなく、翔に話か
仕方が無いけど少し寂しいな
「翔」
「繭、どうした?」
「話がある」
「わかった、入れ」
翔の部屋に入り、ベッドの上に腰かけた
「どうした?」
「僕が普通の高校生になっても翔は友達?」
「当たり前だろ?」
「楓はどうなんだろう」
「楓だって同じだ・・・お前、何かあったのか?」
「あいつが遺言書の内容を僕に教えた」
「うん」
「僕は・・・」
「内容って、繭に全てを譲るって事だろ?」
「うん、でも」
「でも?」
「条件があった」
「条件?」
「僕が18になるまでに婚約者と結婚する事が条件」
「婚約者なんていたのか?」
「いないけど、来月紹介すると言われた」
「まじかよ」
「その条件を飲まないと和海に財産が」
「は?」
「和海なら愛は無くても結婚するはず、財産の為にね」
「だろうな」
「僕には出来ない、でも条件を飲まなければ全て和海に」
「まぁ、冷静に考えればわからない事も無いけどな・・・彩流寺グループのトップは子孫も残さなければいけないだろうし」
「僕は・・・」
「俺に任せておけ」
「翔」
「和海が結婚をしなければいいんだろ?一生」
「だけど」
「俺が和海のものになる条件として結婚はしないと言う条件をつける」
「だめ!好きでもない奴のところへ行くのはダメ」
「大丈夫だから」
「ダメ!翔を傷付けてまで財産を手に入れたくはない」
「いいから・・・俺は繭の為にやるんだ」
「ダメ!絶対許さない」
「繭」
「じゃ、和海を早めに殺すしかないな」
「時間が無い」
「来月だよな、あと一週間も無いのかよ!」
「和海が死んでも冬矢がいる、僕が結婚しなければ和海が死んでも冬矢に財産が移るだけ」
「クソッ!」
「僕はどうしたらいいんだろう」
「繭・・・」
「楓にどう説明すればいいんだろう」
「あのさ、よく聞け」
「うん」
「お前の幸せは何だ?」
「僕の幸せ?」
「そうだ、繭が一番幸せになれる道を選べ」
僕の幸せ・・・
僕が全てを失ったら楓はどうするんだろう
仕事もお金もない人間になったら、僕は楓の足手纏いにしかならない
僕はどうしたら・・・
「部屋に戻る」
「ああ、よく考えろ・・・俺には何でも言えよ、出来る事なら何でもやるから」
「ありがとう、翔」
「当たり前だろ?とにかく、時間が無いからお前の幸せだけを考えろ」
「・・・・・・・・・」
「繭一人ぐらい楓なら余裕で受け入れてくれるはずだ」
「おやすみ」
「ああ」
部屋を出て考えた
楓は普通の人間じゃない
僕がいたら迷惑をかけてしまうかも知れない
マスコミにばれたらそれを揉み消す力も僕には無くなる
じゃ、結婚?
好きでもない人と生活をするなんて想像出来ない
そもそも僕は楓以外愛せない
僕が一番欲しい物はなんだろう
地位?名誉?財産?
僕が一番欲しい物は・・・
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 169