アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
今日はライブの日
チケットを握りしめ、溜息をついた
ライブの事を翔には言わなかった
「繭、楓は?」
「仕事」
「そっか、じゃ夕食を一緒に」
「出掛ける」
「どこへ?」
「すぐ戻る」
「わかった、じゃまたな」
「うん」
そのままスーツに着替え、迎えの車を待った
「お疲れ!今夜も最高だったな」
「お疲れ様」
「楓、今日はあの二人を招待していないのか?」
「したけど」
「いなかったよな」
「そうだね」
「どうしたんだろ」
「連絡してみる、何もなければそれでいいし」
「だな、そうした方がいい」
「うん」
確かにチケは二枚渡した
繭は来ると言っていたのにどうしたんだろう
「出ない」
繭の携帯は電源が入っていなかった
心配になって翔に電話をかけてみた
ーもしもしー
ー翔、今どこ?-
ー寮だけどー
ーえっ?-
どうして寮に?
翔は今日のライブの事を知らない?
ーどうかした?-
ーううん、繭は?-
ー出掛けるとか言ってたけどー
ー出掛けた?ー
ーうん、何かあったのか?-
ー大丈夫、ごめんねー
ーいいけどー
携帯を握りしめ、もう一度繭に電話をかけた
翔にどうして言わなかったの?
繭はどこにいるの?
でも、仕事かも知れない
繭は約束を破ったりしない
そもそもライブに来ると言う約束はしていない
「楓、どうだった?」
「仕事が忙しいみたい」
「そっか、残念だな」
「仕方が無いよ」
「打ち上げ行くか!」
「うん」
急な仕事でも入ったのかな?
余り無理をしていなければいいけど
「今夜の打ち上げはスポンサー様が用意したレストランだ」
「レストラン?」
「しかも高級がつく」
「堅苦しそう」
「適当に食事をして早目に切り上げよう」
「だね」
レストランか
余り気が進まないけど仕方が無い
取り合えずみんなでレストランに向かった
「超高級だな」
「うん」
「繭が社長だしスポンサーも気を使って大変そうだ」
「だね」
確かに繭が社長になってから、スポンサーはすごく俺達に気を使うようになった
でも、こういうレストランは疲れてしまう
「行こう」
「うん」
いかにも高級そうな内装と音楽
客も一般の人では無さそう
「個室だって」
「そう」
「なんか堅苦しいな」
「だね、普通に唐揚げとか食べたいけど」
「だよな~・・・あれ?」
「どうしたの?」
「あそこにいるのって、繭君じゃないか?」
「まさか」
「スーツ着てるけど・・・まさかお見合い?」
「えっ?」
葵が指を差した方向に目をやった
確かに繭だった
そして繭と同じテーブルの席に綺麗な女性が座っていた
「まさかだよな」
「・・・・・・・・・・」
「何か聞いてる?」
「何も」
「じゃ、仕事のお付き合いだな」
仕事の付き合い?
そんな風には見えない
「でも、繭君ってスーツ着ると雰囲気変わるよな」
「そうだね」
「学園では子供みたいなのにすごく大人っぽいし」
「うん」
何を話しているの?
俺は何も聞いていない
ライブをより大切な事?
ー彩流寺さんのお見合いらしいわよー
ーお似合いよねー
ーお相手の女性もお綺麗ですわー
ー結婚が決まったら新聞に載るわねー
ー彩流寺グループの御子息ですしー
どうでもいい話として聞き流す事が出来なかった
お見合い?そんな話は聞いていない
「楓、大丈夫か?」
「行こう」
「いいのかよ?」
「俺にどうしろと言うの?」
「そうだけどさ」
「みんなを待たせるのは悪いから行くよ」
「ああ」
頭の中は何も考えられない
本当は繭に直接聞きたい
でも、きっと話してくれるはず
そうだよね?
「葵」
「ん?」
「この事は見なかった事に」
「それでいいのかよ?」
「俺は繭から聞きたい」
「そうだよな、わかった・・・でもお前大丈夫か?」
「何とかね」
でも本当はかなりのダメージを受けた
繭がお見合い・・・
想像したくはない
もしかして繭がおかしかったのはこのお見合いのせい?
繭は俺を捨てるつもり?
それが繭の為になるのなら俺は・・・
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
77 / 169