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話をしていても全く頭に入らなかった
どんなに強い酒を飲んでも同じ
さっきの光景が頭から離れない
繭がお見合い?
だから昨日の繭は様子がおかしかったと言うわけ?
「楓、帰るぞ」
「俺はまだ飲んでる」
「ダメだ!お前の性格は俺が一番わかっている」
「どう言う意味?」
「そうやって朝まで飲んで、そのまま忘れようとして・・・」
「誰かの腕の中で後悔すると言いたいの?」
「そうだよ、でも昔とは違うだろ?もし勘違いだったらお前はまた泥沼から抜け出せない」
「どうでもいい」
「よくない!イオ、悪いけど楓を連れて先に帰る」
「わかった、俺は明日帰るね」
「ああ、行くぞ楓」
「お節介」
「そうだよ!」
そのまま車に乗り、学園に向かった
だけど、どんな顔をすればいいの?
「こんな事を言ったら怒るかも知れないけどさ」
「・・・・・・・・」
「お前がそこまで壊れるのが嬉しいよ」
「なにそれ」
「じゃ、今はまともか?」
「・・・・・・・・・」
「真剣だからそこまで壊れてしまったんだろ?」
「真剣ね・・・でもよく考えてみて、無理だと思わない?」
「無理って何が?」
「繭は大会社の時期社長になる」
「だから?」
「俺は平凡なミュージシャン、釣り合うわけがない」
「平凡じゃないだろ?」
「これから忙しくなる繭を同じように愛せるのかな」
「それはお前次第だろ?」
「冷静になって考えてみれば分かる事だよね、繭は結婚しなければいけない」
「結婚ね」
「俺に内緒と言うのはそういう事じゃない?」
「とにかく、繭の話を聞け」
「何も言わなかったら?」
「だったらお前が聞けばいいだろ?もうこのままではいられないはずだ」
「そうだね」
「だけど、答えを間違えるんじゃない・・・いいな?」
「誰も好きにならなければよかった」
「本気で言っているのか?」
「千裕を愛したから死んだ、繭を愛したら死ぬより辛い現実を見せられた」
「お見合いをしたからと言って結婚するとは限らないだろ?」
「俺はどうしたらいいの?」
「とにかく、繭の話を聞いてみろ」
「・・・・・・・・・」
話を聞くって・・・何も話してくれなかったらずっと待てと言う事?
そんなの・・・
「着いたぞ、今夜は遅いからもう寝ろ」
「うん」
「大丈夫か?」
「葵」
「ん?」
「ありがとう」
「ああ、じゃな」
寮に着いたのは夜明け前
朝もやがかかる中庭に立ち、空を見上げた
俺の心の中と同じだ
今は何も見えないし考えられない
俺はいつしか繭しか見えなくなっていたんだ
でも、そんな風にしたのは誰?
繭じでしょ・・・俺の心を掴んだ途端消えるつもり?
しばらく空を見上げ、部屋に戻った
繭はまだ戻っていなかった
俺はベッドに倒れ込み、静かに明けて行く空を見つめていた
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