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足音が聞える
空はもう明るい
俺はそのまま眠ったふりをした
ドアが開き、繭が部屋の中に入った
スーツを脱ぎ、いつもの服に着替えている
そう、俺は可愛い繭しか知らないんだ
それが当たり前だと思い込んでいた
足音が近付いて来た
繭が俺を見ている
「楓、ごめんね・・・ライブに行けなくてごめんね」
「気にしないで」
「起きてたの?」
「今起きた」
「ごめんなさい」
「もういいよ」
「だけど、行くと言った」
「用事があったのなら仕方が無いでしょ?」
「・・・・・・・・・」
「少し眠ったら?」
「大丈夫」
体を起こし、繭を見つめた
ここにいるのはいつもの繭だった
熊のパジャマを着た可愛い繭
じゃ、昨日見た繭は誰?
とても大人びた人は誰?
「楓」
「うん」
「昨日、お見合いを・・・」
「いいんじゃない?繭は跡継ぎなんだし」
「楓・・・」
違う、そんな事を言うつもりじゃない
これでは繭を傷付けてしまう
全然進歩していないじゃない
これでいいわけがない
腕を掴んで、ベッドに座らせた
「嘘」
「・・・・・・・・・・」
「いいわけない・・・よかったねって言えるわけがない」
「僕、全てを失ってもいいと思った、楓だけでいいと思った」
「繭・・・」
「今までの恨みより楓が大切」
「だけど」
「お見合いをしたのは断る為、僕が結婚をしなければ遺言書は無効になる」
「それって・・・」
「何もない僕でもいい?」
「当たり前でしょ?」
「本当に?」
「勿論」
「うん」
繭は俺の為に全てを捨ててくれるの?
「繭は本当にそれでいいの?」
「うん、会社は取り戻せるけど楓は取り戻せない」
「すごく嬉しい」
「卒業したら僕の会社しかないけど・・・」
「えっ?」
「僕は自分の会社を持っているけど、和海が相続する数には及ばない」
「俺はお金持ちの繭が好きな訳じゃないよ・・・ここにいる繭が好きなんだ」
「うん」
そうだった
繭も社長だと言う事を忘れてた
「綺麗な人だったね」
「えっ?」
「昨日偶然見た、俺達もあそこで打ち上げしていたんだ」
「僕が何も言わなかったら?」
「俺から聞いていたかもね」
「でも、ちゃんと話すつもりだった」
「嬉しいよ」
「楓、いつまでも好きだから」
「俺もだよ」
「安心したら眠くなった」
「俺も眠い、一緒に寝よう」
「朝食の時間」
起き上がろうとした繭の手首を掴んで抱きしめた
「寝るのが大事」
「わかった」
繭を抱きしめて髪を撫でた
葵の言った通りだね
本当に後悔するところだった
もう絶対離さない
この可愛い繭は俺のもの
安心したらすごく眠くて・・・
繭はもう夢の中
そっとキスをして目を閉じた
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