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「繭~、いるか?」
翔の声がする
「どうぞ」
「もしかしてお邪魔?」
「いいよ、繭に用事でしょ?」
「楓も聞いて」
そして繭が起きた
「翔、どうしたの?」
「お目覚めか?」
「まだ眠い」
「じゃ、目が覚める情報を聞かせてやる」
「情報?」
「お前、昨日お見合いで断ったらしいな」
「うん」
「断るとどうなるのかも知っていたんだよな?」
「もちろん」
「じゃ、ここでお前の決意を聞きたい」
「決意?」
「和海をどうしたい?」
「殺す」
「よくできました~」
「和海は殺す、それだけは譲れない」
「そうか、じゃ和海が死んだら財産は誰のもの?」
「冬矢」
「だよな、でもね・・・その冬矢が俺に交渉を持ちかけて来た」
「交渉?」
「和海を殺さなければ財産はいらないと」
「翔はいつからバカになったの?」
「言うと思った、和海が生きていれば当然財産は和海のものだしな」
「うん」
「俺の答えはもちろんNO、当たり前だ」
「話がよくわからない」
「俺は考えた、和海を殺して財産を手に入れる方法をね」
「財産はもう必要ない」
「で、これを手に入れた」
「それは、遺言書」
「そそ、昨日偽物とすり替えたんだよね」
「どうやって?」
「あの弁護士は俺を狙ってたからさ」
「まさか、翔・・・」
「服を脱がされたところで氷龍がやって来たから何もされていないよ」
「それで?」
「お偉い弁護士先生は慌ててたね、スキャンダルだろ?」
「写真を?」
「もちろん、氷龍がね」
「うん」
「で・・・脅した」
「何を?」
「まず本物の遺言書を読んだ、確かにお前の結婚の話も書かれていたな」
「うん」
「あとは氷龍が結婚の条件を消した物と入れ替えた」
「ばれるんじゃない?」
「バレないよ、絶対にね」
「でも蝋封は?」
「実は俺も持ってるんだ、あいつが俺に渡して来た」
「そうだったんだ」
「使う事も無いと思っていたけど、意外と役に立った」
「うん」
「だから繭が結婚しなくても財産は入るし和海も殺せる」
「でも冬矢は内容を知っているんじゃない?」
「知っていても冬矢は言わないよ、財産はいらないと言っているんだしね」
「和海を殺されたら言うかも知れない」
「弁護士との約束も交わしたから心配ない」
二人の話を聞きながら少し驚いていた
繭の為にそこまでやる翔
友情だけでそこまでするのだろうか
「翔」
「楓、何?」
「ひとつ聞いてもいい?」
「うん」
「どうしてそこまでするのかなって」
「繭の為だよ・・・それと俺の為」
「そう」
それ程の憎しみが残っているのかな
俺にはよくわからない
実際、殺された千裕の事も記憶から薄れていたしね
「楓はさ」
「うん」
「復讐したくないの?」
「俺はずっと殺す事を考えていたけど、繭の存在が復讐心を無くしてしまったのかもね」
「成程ね、じゃ復讐はもう終わり?」
「繭は全てを捨ててもいいと言ってくれた、でも・・・繭や翔の気持ちを尊重したい」
「そうじゃない、楓の気持ちだ・・・和海を殺したくは無いの?」
「楓」
「繭」
「愛する人を殺された事は忘れてはいけない、彼は生きようとした」
「・・・・・・・・・・・」
「生きようとしたのに和海が命を奪った」
「そうだね」
「楓の復讐ではない、彼の復讐」
繭の表情はとても冷たかった
翔も同じ
復讐なんてもうやめたら?というレベルではない
二人の傷は相当深いらしい
「繭が全てを捨てる決断は辛い決断だったんだよ、財産なんかどうでもいいはず、ただ和海を殺したいだけだから」
「繭」
「楓の為に復讐を諦めた」
「諦める必要は無いよ、繭がやりたいようにやればいい」
「楓はそれでいいの?」
「もちろん、俺も和海が死ぬところをこの目で見たい」
「じゃ、決まりだな」
「うん」
「和海を殺して財産を全て頂く」
「結局、繭は遠い存在になるわけか」
「ならない、楓のそばにいる」
「だけど」
「とにかく、あと一年で決着をつけるぞ」
「うん」
翔が部屋から出て行った後、繭は俺を抱きしめた
「ごめんね、楓」
「どうしたの?」
「僕も和海は憎い、だけど翔の方が僕より辛い思いをして来たから」
「もうわかったから何も言わないでいいよ」
最初から翔の復讐だったんだ
翔が手を貸していたのではない
繭が・・・
でもそんな事はどうでもいい
あの二人には見えない何かで結ばれているのだから
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