アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
いい天気
外は寒いけど今日はいつもより暖かく感じる
「繭、準備出来た?」
「・・・・・・・」
フリーズしてる
「どうしたの?」
「着て行く服がない」
「ライブの時は?」
「翔」
「成程」
スーツは着ないだろうし、翔に借りた方がいいかもね
「翔に借りて来る」
「うん」
繭のクローゼットの中にはたくさんのスーツ
みんなオーダーメイドで高そうな仕立て
ネクタイも品がいいものばかり
「スーツ姿の繭も好きだけど・・・」
ギャップ萌えってやつかな
可愛いけど男らしいみたいな?
「借りて来た」
「うん」
「すぐ着替える」
「わかった」
ライブ仕様の服は年相応に見える
でも・・・中学生
でもスーツ姿の繭は大人に見える
本当に不思議だね
「出来た」
「似合うよ」
「弟に見えない?」
「まだ気にしてたの?」
「・・・・・・・・・・」
「行こう」
「車でいい?」
「うん」
繭の車に乗って数時間
息苦しい街にやって来た
「早く」
「そんなに急ぐと危ないよ」
「先着100名様」
「わかった」
CDショップの前は長蛇の列が出来ていた
「並ぶ」
「えっ?」
「楓は車の中で待ってて」
「でも」
「バレたら大変」
「わかった」
ここは素直に従おう
バレたら面倒臭いしね
列に並ぶ繭を見ながら改めてありがたいと思った
いつもこんな風にCDを買いに来てくれているんだ
そして
「お帰り」
「・・・・・・・・・・」
「ん?」
「ポスターもらえなかった」
「あら」
「だから予約してきた」
「何を?」
「アルバム特典、ご予約のお客様限定ポスター」
「もしかしてそれだけの為に?」
「それだけじゃない」
「ごめん」
と言うか、事務所にたくさんあるのに
「これからどうする?」
「別のショップに行く」
「わかった」
でも、ここでなければ同じだと思うけど・・・
「繭」
「何?」
「歩いて行こうか」
「うん」
車を降りて、二人で街中を歩いた
歩きながらショップを回り、玉砕していた
「水族館があるよ」
「先月オープンした」
「へぇ、知らなかった」
「・・・・・・・・・・」
「えっと・・・もしかして繭の?」
「行きたい?」
「行きたいかも」
「わかった」
やはり繭の会社だった
何と言うか、すごいね
「待ってて」
「チケットは買うから」
「どうして?」
「繭もCDを買ってくれたでしょ?」
「・・・・・・・わかった」
「うん」
急いで水族館のチケットを買い、繭に渡した
「行こう」
「うん」
当たり前のように手を繋ぐんだ
けっこう混んでるし迷子になったら大変
もしかして俺が迷子にならないように?
この魚面白いな
動かないし
「どうしたの?」
「この魚動かないなって」
「それ石造」
「えっ・・・」
「動かない」
「本物みたいだね」
「向こうにペンギンいる」
「見たい」
石造を10分も見てたんだ
繭は黙ってそれを見ていたんだ
「可愛いね」
「うん」
ペンギンは生きてるよね?
動いてるし大丈夫
見ていて飽きないな
「向こう」
「うん」
繭は何が見たいんだろう
「・・・・・・・・・」
「砂?」
「ちんあなご」
「あなご・・・」
「砂の中にいる」
「へぇ」
砂しか見えない
「出て来た」
「ホントだ、可愛いね」
「うん」
アナゴって言うからウナギみたいなのを想像していたけどすごく小さくて可愛かった
「楓、ランチ」
「うん、お腹空いたね」
「シーフードレストランがある」
「楽しみ」
水族館でシーフード料理
いいのか悪いのかよくわからない
「ここでいい?」
「もちろん」
普通のレストランだね
でも結構混んでる
しばらく並んで漸くテーブルに案内された
「オーダー取りに来ないね」
「うん」
混んでるのはわかるけど、20分以上待っていた
「すみません、オーダーを」
「お待ちください」
忙しそうだけど、後何分待てばいいんだろう
子供も泣きだしてるし、みんな苛立ってるみたい
「お客様、小さなお子様はお断りしております」
「そうなんですか?」
「他のお客様の迷惑になりますので」
「・・・・・・・・・・」
結構並んでいたのにその断り方はムカつくな
「これは田中様、いらっしゃいませ」
「混んでるね」
「いえいえ、どうぞご案内します」
何この人?
順番を抜かすんだ
「子供連れはだめなの?」
「・・・・・・・・・・」
「ここは水族館のレストランだよね?」
「何にしますか?」
いきなり来たウエイターは不愛想だった
しかもお水も零れてるし
「メニューを」
「メニューですか?お待ちください」
そして結構待たされた
「限界、楓ごめんね」
「繭?」
「すみません」
「はい」
「責任者を」
「今手が離せないので」
「呼んで下さい」
「無理ですよ」
「では僕が行きます」
「お客様、困ります」
「では呼んで下さい」
「中学生でしょ?責任者って・・・」
あっ、言っちゃったね
地雷を踏んだかも
「呼んで下さい、彩流寺と言います」
「はぁ、わかったから」
そして支配人が慌ててやって来た
「彩流寺様、まさかお越しになっていたとは」
「ここはいつから子連れのお客様お断りに?」
「えっ・・・それは」
「従業員が多いだけで段取りも悪い、言葉使いも最低ですね・・・貴方の教育ですか?」
「申し訳ありませんっ!」
「上客を優先しているのは何故ですか?」
「そんな事は」
「していますよね?周りのテーブルを見ればわかるはず」
「申し訳ありません」
「貴方と従業員を全員解雇します」
「二度とこのような事は、お願いします」
「現場に行って分かる事もあると言う事ですね、次の仕事を見つけて下さい」
「彩流寺様」
「それと、君」
「は、早く来ないか!」
さっきのウエイターだ
「見掛けで中学生と言うのは失礼ではありませんか?」
「・・・・・・・・」
「謝りなさい!」
「あのさ、時給がいいだけで忙しいし俺辞めます」
「謝る事も出来ない貴方は小学生以下ですね」
「は?てかあんた何?社長の息子とか?」
「言葉を慎め!このお方は彩流寺様だ」
「誰それ」
「この水族館のオーナーだ」
「でもここは彩流寺グループの」
「僕が彩流寺です」
「えっ・・・子供じゃん」
「君!」
「明日からの従業員はこちらで用意します、最後の仕事ぐらいしっかりこなして欲しいものですね」
「彩流寺様」
「楓、行こう」
「うん」
「お待ち下さい!考え直して下さい!!」
繭は振り向きもせずにその場を離れた
大人の顔だ
「あっ、さっきの親子だ」
「ここで待ってて」
「うん」
繭はイルカの風船を買って親子に近付いた
その風船を手渡し、何かを渡していた
「お待たせ」
「何を話してたの?」
「お詫びと水族館の年間パスポートを渡した」
「そう」
嬉しそうな顔をしていたな
いい物を見たかも
と言うか、やはり繭は男前だね
惚れ直しそう・・・
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 169