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今日もおやつを持って来てくれた
と言うか毎日来てくれるけど、どうしてだろう
「今日はアップルパイだ」
「大好き!」
「そうか」
そして当たり前のようにお茶を淹れてくれる
「熱いから気を付けて飲め」
「ありがとう」
アップルパイは皮がサクサクしていてとても美味しかった
そう言えば俺が知っているのはアップルパイじゃなくてアップルデニッシュだった
それよりも数十倍美味しい
「どうして毎日来てくれるのですか?」
「お前が心配だからだ」
「心配?」
「いいから食べろ」
「はい」
もしかして俺が和海様に殺されかけたから責任を感じているのかな
「生徒会の仕事は大丈夫ですか?」
「気にするな」
「でも」
「俺を早く追い出したいのか?」
「違います!」
追い出すなんて滅相も無い
むしろずっと居て欲しい
「思い出した、授業に出ていないから今日は勉強を教えに来た」
「勉強・・・」
「もうすぐテストだろ?」
「思い出した」
嫌な事を思い出した
もうすぐ期末試験だった
「何が苦手だ?」
「全部・・・かな」
「全部ね、特に?」
「フランス語とドイツ語と物理と数学」
「成程、じゃ今日はフランス語にしよう」
「はい」
勉強は苦手だけど、冬矢様のフランス語はとても流暢ですごくわかりやすく教えてくれた
だけど眠くて・・・もうダメ
「この詩はテストに出るから暗記・・・寝てるのか」
「ゆっくり休め」
あっ、ドアが開く音がする
でもすごく眠くて・・・
「和海がやってくれた」
「どした?」
「燕羽の親が退学届けを」
「どうして?」
「どうせ美味しい話を吹き込んだ」
「そういう事か、退学届けは?」
「僕が持ってる」
「どうする?」
「冬矢に任せる」
「責任重大だな」
「冬矢をここに」
「オッケー」
相変わらず卑怯な手段しか使わない和海にムカついた
翔に冬矢を呼んでもらい、話をする事にした
「どうした?」
「燕羽の父親がこれを」
「退学届?」
「何か知ってる?」
「いや」
「どうするの?このままだと退学になる」
「・・・・・・・・・」
「和海と話し合ってみたら?」
「そうした方がよさそうだな」
「和海はウサギ小屋」
「行って来る」
「僕達はここで待ってる」
「わかった」
物事がうまく進まない
全て和海のせい
でも今は待つしかなさそうだ
近寄りたくもない場所までやって来た
「おや、冬矢・・・珍しいですね」
「また建てるつもりか?」
「もちろんです」
凝りもせず・・・
「私に何か?」
「お前、燕羽をどうするつもりだ?」
「もう耳に入ったのですね」
「和海」
「目障りなんですよ、冬矢も私の隣にいるべきなんです」
「何をした」
「所詮お金ですね、燕羽の父親にビジネスの話を持ち掛けただけです」
「条件は何だ」
「燕羽を退学させる事」
「・・・・・・・・・・」
「あの父親、大喜びで退学届けを提出しましたよ・・・愛されていませんね」
「いい加減にしろ」
「これで燕羽も親孝行が出来ると言う事でしょうか」
「高校を中退させて何が親孝行だ」
「燕羽が親に捨てられようが関係ありません」
「ふざけるな」
「繭の影響ですね?私に逆らうなんて」
「繭は関係無いだろ、俺は自分の意志で動いているだけだ」
「おかしいですね、私の味方は冬矢ではありませんか」
「味方などした覚えはない」
「わかっていますよ、貴方が優しい事は」
「燕羽から手を引け」
「お断りします」
「俺が頼んでいるのにか?」
「ええ」
「本当の目的は何だ」
「私は寂しいのです、冬矢が隣にいませんので」
「そんな戯言は聞き飽きた、お前は何もわかっていない」
「わかっていない?」
「この学園を動かしているのは翔だ」
「まさか」
「親父が翔にこの学園を譲ったんだ、気付いていないのか?」
「そんな事は」
「お前は理事にはなれない、翔達はそれが分かっているんだ」
「・・・・・・・・・・」
「燕羽から手を引け、そうすれば翔も何もして来ないはずだ」
「バカげている」
「だったら聞いてみろ!」
和海は震えながら父親に電話をかけていた
あの父親は翔に夢中だと言う事がわからないのか?
電話を切った和海は持っていた携帯を握りつぶした
「納得出来ませんね」
「お前があの二人を泣かせた報いだ」
「何故私が?」
「燕羽から手を引け、大人しくな」
「仕方がありません、燕羽の家庭を壊して差し上げましょう」
「和海!」
こいつは狂っている
俺が傍にいても無駄だ
「お前の大切な物を壊すしか無さそうだな」
「大切なものなどありませんよ」
「一番かわいがってるうさぎを殺してもいいのか?」
「冬矢が殺しなど出来るはず無いでしょ」
「出来るさ・・・お前と同じ血が流れているんだから」
「・・・・・・・・・・」
「どうする?」
「わかりました、手を引きましょう・・・しかしビジネスの話が無くなれば燕羽も全てを無くしますよ」
「無くさないさ、俺が傍にいる」
「驚きましたね、冬矢の口からそんな言葉を聞くなんて」
「俺は本気だ」
「好きにすればいい」
「二度と近付くな」
「冬矢」
悲しい事に、こいつの考えが全てわかってしまう
俺を本気で殺す為に取り出したナイフを掴み、和海の首筋に当てた
「俺を殺せると思っているのか?」
「貴方も私は殺せません」
「次は殺すかも知れないぞ」
「私の敵になるのですね」
「俺は燕羽を護りたいだけだ、敵や味方などどうでもいい」
「成程」
「翔達はお前が思っているほど優しくないぞ」
「出掛ける用事がありますので」
「・・・・・・・・・・」
和海が大人しく引くわけがない
やはり翔達に話をしなければいけないらしい
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