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楓の寝顔をしばらく見つめて、部屋を出た
「楓は寝たのか?」
「うん」
リビングに居たのは翔
僕が来るのがわかっていたみたい
「氷龍が言うには5月から学園での生活が可能らしい」
「うん・・・」
「お前にしては戻りたくないと顔に書いてあるぞ」
「うん」
「そっか・・・そうだよな、ここに居ればいろんな面倒臭い事を忘れられるし」
「だから翔はここを造ったんでしょ?」
「まぁね・・・つかの間の休息用かな」
「うん」
「これからどうするつもり?」
「学園に戻って普通の生活をする」
「普通の・・・ね」
「僕が何もしなければ何も起こらない」
「だな」
「でも、僕を襲って楓に怪我をさせた奴は必ず見つける」
「ああ」
絶対許さない
「それはお前に任せるよ」
「うん」
その時、庭から悲鳴が聞こえて来た
「燕羽?」
「ああ、氷龍が乗馬を教えてるみたい」
「可哀相」
「超、スパルタだしな」
「うん」
「でも、そのおかげで俺も乗れるようになったし」
「翔は・・・」
「ん?」
「本当にずっと一人でいいの?」
「それって、家族?それとも恋人?」
「どちらも同じ、恋人が家族になる」
「さすが繭さん」
「ふざけないで」
まだ、いろいろなトラウマを抱えているのだろうか?
もし、そうだとしたら僕が力になりたい
「作らないとは言ってないよ」
「うん」
「まだ、運命の相手に出会わないだけ」
「氷龍」
「ムリムリ!あいつと付き合ったら体が持たない、色々な意味で」
「色々・・・」
ーぎゃーーーー!!ー
ー落ちるーーー!!ー
ー痛ったい!!!振り落とされたよーー!ー
「成程」
燕羽の叫び声を聞いて納得した
「翔」
「言いたい事はわかるから言うな・・・俺も決心が鈍りそうだから」
「うん」
「俺も、お前も和海に何度もひどい目にあわされて来たよな」
「うん」
「悪魔が天使になる事なんてあるのかな」
「どうだろう」
「いっその事、あの時死んでいれば」
「僕達も解放された」
「ああ」
「心が少しだけ痛む」
「フォークの件?」
「うん」
「気にするな、それ以上の事をされて来たんだし記憶を無くしても信じるのは無理だ」
「うん」
ソファーに横たわり、天井を見つめる翔の表情も暗かった
「まぁ、学園に戻ってからだな」
「うん」
「何もしなかった冬矢も同じ罪だとは思うけど、和海の事は知らなかったわけだし」
「知っていたらもっと早く殺されていた」
「そんな狂気をあいつも持っていたんだな」
「和海とは兄弟だし」
「だなー」
そして燕羽がボロボロになって戻って来た
「翔ーー!俺、もう泣くよ?泣いちゃうよ!」
「乗れるようになったか?」
「明日もやるって」
「頑張れよ!」
「他人事だと思って!」
「今日は何をしたんだ?」
「馬の上に乗る練習」
「でも悲鳴が聞えたけど」
「乗れたと思ったらいきなり馬を走らせるんだもん」
「氷龍もなかなかのSだしな」
「死ぬかと思ったよ」
「いざとなればちゃんと助けてくれるさ」
「3回落馬したけど?笑ってたけど?」
「・・・・・・・さて、温室に行くかな」
「僕も仕事を」
「何さ!二人共逃げるとか!!」
「とりあえず風呂に入れ、お前臭い」
「むぅー!」
逃げようとした翔の手を燕羽ががっちり掴んで言った
「一緒に入ろ?」
「え・・・」
「入るよ!」
「いや、俺はいい」
「ダメ!翔も甘い匂いするし」
「それはいいだろ!」
「ダメ!行くよ」
「ったく、しょうがないな」
「んふ」
やはり翔は優しい
嫌がりながらも付き合ってるし
意外とお似合いなのに残念
本当はもう全てを許したいと思っているのかも知れない
だけど、僕も翔の心の底にある気持ちはわからない
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