アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
俺達は学園に戻った
いつもと変わらない風景、だけど何かが足りない景色
その足りないものは、俺を呼ぶ声と周りを楽しくさせる笑顔
「翔」
「うん」
「都築は楓のクラスだった、そして楓のファンらしい」
「楓は巻き込めない」
「もう遅いかも・・・燕羽の事を聞いた楓は何か手伝いたいって」
「そっか、ライブが近いから余り巻き込みたくはないんだけど」
「あいつを呼び出すぐらいならいつでもやるって」
「わかった、じゃ放課後に」
「伝えておく」
二人で食堂で話をしていると、和海がやって来た
「おはようございます、おや?燕羽くんはお休みですか?」
白々しい言葉に反吐が出る
そんな気持ちを押し殺して笑顔で言った
「あいつ、戻って来ないんだよね・・・一体どこに行ったんだろ」
「心配ではないのですか?」
「心配?戻って来ないって言う事が返事なんじゃない?それとも、和海は知ってるのかな?」
「私がですか?知るわけありませんね」
「だよね、あの野郎・・・夜遊びかな、戻って来たらぶん殴ってやる」
「怖いですね」
「そう言えば今日は冬矢はいないの?」
「もう私だけで行動出来ますので」
「そうなんだ」
俺達の話を聞いていた繭は、ナイフを握りしめた
「さすがにナイフで刺されるのは嫌ですのでこれで」
「うん」
吐き気がする
笑いながら話をする自分にも、燕羽の話をする和海にも
「翔、大丈夫?」
「楓、ごめんね」
「話は聞いたよ、俺もすごく辛い」
「ライブ前なのに」
「気にしないで、俺に出来る事はするから」
「ありがとう」
「放課後、どこへ呼び出せばいい?」
「あの塔の下に」
「了解」
悲しんでいる顔をしてはいけない
偽物の笑顔を作りながら話を進めていた
放課後まで生徒会室で待つ事にした
待つ時間が長く感じる
時計の音だけが響き渡っていた
「お前達、ここに居たのか」
冬矢がやって来た
「何だか眠くて、燕羽を捜してたから寝てないしね」
「そうか」
顔色一つ変えないなんてね
ある意味和海より、こいつの方が手ごわいかも知れない
「冬矢は知らないよね、もしかしてまた寄りが戻ったりしてないよね?」
「それは無いだろ」
「だね」
イラつく
心がかき乱されそうだ
「で、何か用事?」
「いや、人影が見えたから」
「あそ」
「じゃ、行くよ」
「うん」
冬矢の足音が消えた瞬間、テーブルを殴りつけた
「翔、ダメ!」
「クソッ!何なんだよあいつ・・・燕羽を愛していたんじゃないのかよ!」
「言いたくは無かったけど、可愛さ余って憎さなんとかってやつ」
「そんなに冷酷になれるなんてな」
「人間じゃない、あいつらは動物」
「そうだな」
本当にそうだ
本能のままにしか動けない動物
和海と、冬矢は俺達を探っている
それは間違いないだろう
すぐには行動出来ない
油断させないとね
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
140 / 169