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寮に戻り、部屋のドアを開けると楓が待っていた
「おかえり」
「ただいま」
楓は僕の頭を撫でながら優しく言った
「今夜はもう寝ようか」
「うん」
楓は何も聞いて来なかった
お腹が空いていないのもわかっているみたい
「楓はいなくならない?」
「ずっと繭と居るよ」
「ホント?」
「うん」
「約束」
「約束」
楓と指切りをしても不安が押し寄せる
「翔の事を考えているの?」
「いつも悲しそう・・・翔の気持ちが痛い程伝わる、無理している事も」
「恋人をなくしたんだから当たり前だよ」
「僕には何もしてあげられない」
「傍に居るだけでいいと思うよ」
「うん」
会話をしながらパジャマに着替えさせてくれた
「少し眠った方がいい」
「楓」
「ん?」
「ライブの最後の曲を聴いて、僕泣いた」
「うん、燕羽の曲」
「だと思った」
「空に居る燕羽にも届けばいいなって」
「きっと届く」
「うん」
「もっとぎゅっとして」
「わかった」
楓に抱きしめられると少しだけ安心出来た
「もっと」
「うん」
苦しい程抱きしめてもらわないと安心出来ないなんて・・・
「もっと」
「だーめ、繭が壊れてしまう」
「じゃ、僕が」
楓を抱きしめながら胸に顔を埋めた
「繭は大丈夫?」
「僕は平気」
「嘘が下手」
「うん」
優しくキスをされて安心出来た
「楓、大好き」
「俺も大好き」
楓は僕の欲しい言葉を全て与えてくれる
そして安心感を与えてくれる
「さぁ、もうおやすみ」
「うん」
温かい体温を感じながら目を閉じた
「楓」
「ん?」
「お風呂に入ってない」
「それは明日にしよう」
「わかった」
楓もきっと疲れているんだ
「おやすみ」
「おやすみ、繭」
楓の腕に包まれながら眠った
今の僕が一番安心出来る場所だった
楓は優しい声で歌を口ずさんでいた
僕が一番好きな曲
優しい声を聞きながら、いつしか眠りに落ちて行った
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