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練習が終わり、みんなが帰った後繭に言った
「あれはどういうつもりだろうね」
「和海の気持ちを確かめただけ」
「あのさ、もし助けなかったら?」
「絶対助けると思ったからやった」
「ったく!」
「だけど派手に転んだね」
「そうだな!あの時と同じだ」
「ごめんなさい・・・嫌な事を思い出した?」
「いいよ、あの時は繭が助けてくれた」
「ちょっといいかな?」
楓が話に加わった
「どうしたの?」
「あの後、話をしていたけど和海は怪我をした?」
「してないって言ってたけど」
「でも、あれは骨が折れる音だったような」
「えっ?」
「僕も聞いた」
「マジで?」
俺は転んだと思ったから何も気付かなかった・・・と言う事にしておこう
「あばらかな、多分折れてる」
「うん、翔・・・」
「ん?」
「転ぶとき、わざと肘を曲げてた」
「気のせいだろ?」
「翔・・・全てお見通し」
「はいはい、転ぶ時どうせなら思い切り和海も巻き込もうとしただけ」
「巻き込まなくても和海が助けた」
「みたいだな」
「みてて面白かった」
「お前、あの笑いは本当に面白かっただけかよ」
「うん」
ホント、性格がひねくれすぎだろ!
俺も同じだけどさ
「でも、和海はもう踊れないんじゃない?」
「和海は来る、骨折してても必ず」
「痛くないのかな」
「痛さより、翔と踊る方が大事」
「これ以上は止めろよ?」
「うん」
「約束だぞ」
「うん、約束」
「よし」
「和海に助けられて嬉しかった?」
「いや、膝で行くべきだと思ったね」
「僕も」
そんな会話をしながらお茶を飲んだ
「思い出した、冬矢の事だけど」
「うん」
「片目を失明したらしい」
「どうでもいい」
「まぁな」
「どうせ、角膜移植ですぐ見えるようになる」
「だろうな」
あいつらなら、金で解決するだろう
角膜は買える金は十分持ってるだろうし
「何だかみんな次元が違う世界の人間だね」
「楓、僕は違う」
何言ってんだこいつ?
お前が一番次元が違うだろ!!
「だって、繭はもうすぐ別の世界の人間になるし」
「楓はいなくならないで」
「傍に居たら繭の邪魔になるかなって」
「ならないし、そう言う事は言わないで」
「ごめんね」
「そうだぞ楓、お前が消えたら繭がどこまででも捜すぞ?」
「捜す、絶対」
繭ならやりそうだ
国外に逃げても見つかりそうだし
「消えないよ、バンドもあるしね」
「うん」
確かに、楓の気持ちもわかる
卒業したら繭は彩流寺財閥のトップになるわけだしね
日本を動かしている財閥と言っても過言では無いし、楓の不安もわかる
「僕は楓がいれば会社なんていらない」
「繭」
「ホントだから」
「うん、ありがとう」
繭の気持ちも本当みたいだな
そう言う風に思える相手がいて羨ましいよ
「じゃ、俺は先に帰るよ」
「僕達も帰る、今夜はラザニア」
「美味しそう」
「ホント、メニューを全部覚えてるんだな」
「もちろん」
外に出ると、大きな月が輝いていた
「綺麗だな」
「うん、メロンパンみたい」
「満月だね」
月を見ながら帰る俺達
何も知らない奴らは平和な学生だと思うだろう
だけど、俺達は同じ憎しみを抱いている
その憎しみは決して消える事など無いんだ
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