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繭の誕生日パーティーは言葉通り豪華だった
招待客も大物ばかり・・・確かにここに呼んでもらえる人間は一握り、将来を約束されたも同然だ
「翔」
「繭、お誕生日おめでとう」
そう言って、ダリアの花束を渡した
「ありがとう翔、僕が一番嬉しいプレゼント」
「よかった」
「楓は?」
「政界のマダム達に」
「ん?」
「気に入られた」
「そっか、いいのか?」
「そう言う繋がりは大事」
「だな」
そして和海がやって来た
見掛けだけは麗しいな
女性客も息を飲む美しさだった
「繭、お誕生日おめでとうございます」
そう言って、綺麗な鍵を渡した
「監視カメラだらけの別荘なんていらないけど、ありがとう」
繭は大人の対応だった
さすがだね
「翔、今夜も美しいですね」
「そう?」
「はい、よくお似合いです」
「それはどうも」
繭の奴がお揃いの色違いがいいと昨日持って来たスーツだった
繭は黒、俺は白
刺繡が細やかに入っているシルクのスーツ
黒を着るのは俺じゃないのかな・・・と思いつつ受け取った
「それではみなさま、宴もたけなわではございますが、今から弁護士立ち合いの元遺言書を開封したいと思います」
それを聞いた和海はニヤリと笑った
ホント、馬鹿だね
前に渡したのは偽物なのにね
本物はしっかりと信頼出来る銀行の金庫にしまわれていた
その金庫に入っていた小さな金庫に本物が入っていた
「楓、ネックレスを」
「うん」
そう、楓が身に付けていたネックレスが鍵
和海は気付かなかったらしい
「では、弁護士の方からお話して頂きます」
金庫から遺言書を取り出し、封蝋印を詳しく確認していた
「間違いなくこの遺言書は本物で間違いございません」
その言葉にみんなは息を潜めた
「では、開封致します」
俺達は和海に視線を向けていた
もちろん、和海が崩れる瞬間を見届ける為
「読ませていただきます・・・遺言書に書かれている事には逆らうべからず。
彩流寺家が所有する株、その他もろもろの7割は本妻の子息である彩流寺繭に譲る。
残りの3割は雨宮翔に譲る。
理由として、双子として生まれた翔はすぐに行方不明になっていた、数年の歳月をかけて調べさせた結果生存していると判明、DNA検査の結果繭の本当の兄であることが証明された、よって翔は彩流寺を名乗り遺産を受け取る義務が発生した。」
会場がざわついた
俺も知らない事実だった
俺が誘拐された?
でも、親は彩流寺家とかかわりのある名家だった
しかも従弟と言う関係性で繋がっていた
要するに、俺と繭は生まれた時から繋がっていたと言う事なのか
「最後に、彩流寺冬矢、和海の二人は庶子である為、所持している会社の全ては繭に譲り、二人には今住んでいる屋敷を譲る事とする。
そして二度と彩流寺家の人間に近付かぬよう心に留めておくように、以上 彩流寺 弦一郎」
「皆さんが証人でもあります、新しい当主の
彩流寺繭様と、彩流寺翔様です」
繭は知っていたのか?
「翔」
「お前、知っていたんだな」
「僕が知ったのは、5年前偶然に」
「詳しく」
「双子が生まれて一番喜んだのはおじい様だったらしい、何故なら彩流寺家を継ぐ人間が二人いるから」
「よくわからないけど、何故俺が誘拐を?」
「もし、僕に何かあっても翔がいる・・・二人一緒だと危険も伴うと考えた」
「・・・・・・・・」
「和海達以外に苛められた記憶がある?」
「ない・・・むしろ優しかった」
「うん、大切に育てられたはず」
「うん」
「困ったことがあれば、僕が何でもやった・・・だって翔はお兄さんだから」
「そか」
一番苦労したのは、繭のはず
それを知らずに俺は・・・・
「繭、ごめん」
「謝らないで」
「何も知らないでいい気になって・・・」
「そんな事無い、もう彩流寺家の人間」
「だな」
皮肉なものだ
和海達も双子
俺達も双子
双子の片割れは居てはいけない
「夜はお披露目パーティーだけど大丈夫?」
「ああ、一度学園に戻って着替えて来る」
「わかった」
「あのね、翔・・・僕すごく嬉しかった、翔が本当のお兄さん」
「俺は混乱しているよ」
「僕が弟じゃ嫌?」
「そうじゃない・・・・うん、俺も嬉しいよ」
「うん」
事実が分かったからと言って何だ
彩流寺家には繭がいる
安心して任せられる
だから俺は・・・
「繭、翔は?」
「一度学園に戻るって」
「・・・・・・和海は?」
「そう言えばいない、ショックで倒れているかも」
「・・・・・・・・・・」
「楓?」
「ごめんね、何でもない」
そう言って、頭を撫でてくれた
だけど、その手は少し震えていたんだ
会場を出る時、和海は外でわめいていた
珍しい事もあるものだ
そりゃそうか
本妻の子だと思い込んで生きて来たお坊ちゃまだしね
まさか、自分が愛人の子だとは思いもしなかっただろう
でも、屋敷が残っただけありがたいと思わないとね
あれでも売れば数億にはなる
俺には嫌な思いでしかない屋敷だから綺麗さっぱり無くなる方がいい
さぁ、最後の仕上げだ
和海、可哀想な和海
地獄を見るのはこれからだよ
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