アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
将来
-
「紅葉ってゲーセン行ったことなさそうだよね」
みんなでゲームセンターまで向かっている途中にみーくんが話しかけてきた。
「確かに1回も一緒に行ったことなかったよね〜」
「はっ……!ごめんねいーちゃん!一緒に行ってなかった!」
「いや別にそれはいいわよ。でも家族とも行ったことないわ。そもそも出かける時間自体がそんなになかったしね」
考えてみれば私はずっと習い事で忙しかった。
文化系だとピアノにヴァイオリンに書道や算盤、華道や茶道もやったわね。あとは合唱団とかバンドとかジャズもやったり。運動系だと水泳に柔道に剣道にあとは〜……スピードスケートとフィギュアスケート?スキーとスノーボードは習っはいないけどよくパパとやってたわね。
今でもやってるのはピアノと合唱団とバンドくらいかしら。趣味で続けてるとしたらヴァイオリンとか華道ね。
「そんなこんなで友達が出来ても時間がなくて遊びに行くこともできなかったのよね。だからせいぜい幼馴染み3人の家に行ったくらいで何もしなかった気がするわ」
「そっか。ていうか紅葉音楽やりすぎじゃない?将来音楽家にでもなるの?」
苦笑いしながらきくみーくん。
確かに音楽ばっかりやってる気はする。家にも楽器専用の部屋あるし。ほとんど私のだけど。
「まぁプロ奏者とかになりたい気はすこしはあるけど音楽って言ってもジャンルがあるしねぇ。ピアニストやヴァイオリニスト、トロンボーニストもいいだろうし、バンドで曲を出すのもいいかもしれない。あとは音楽の先生になるっていうのも一つの手ね」
どちらにせよ将来のことは家族にも相談しないといけないからなんとも言えないのよね。
「いーちゃんは天才だから何でもできちゃって逆に進路に困るよね」
「それな。俺は頭悪いから進路が絞られて探しやすいけど」
「紅葉なら医者にもなれちゃうしね」
医者……か。医者になるのもありかもしれない。まずは身近なものから見ていって離れて今まで気にも留めてなかったものを見るのもいいかもしれない。先生にも相談していかないとね。
「ところでさ、なんでこんな地味に重たい話してんの。パーっと遊んでそれから現実に帰るんじゃないの?現実見すぎてない?」
口を開いたのは今まで1度も口を開いてなかった遠藤くんだった。
ええ、確かに話の内容が重たいわ。それに現実もかなり見てるわね。
「あぁ、俺が変なこと聞いたせいだ。ごめんアオ。あとでなんか奢るから許して」
「わかった。許す」
「あざます」
みーくんがなんか変なテンションになってる。これが素なのかしら。幼馴染みって一緒にいると楽しいわよね。ふざけ合ったり、喧嘩して泣いたり、たまには静かに何かをしていたり。私も拓麻と、芽依ちゃんと、優香ちゃんと幼馴染みでよかったって心から思える。きっとこれからもずっとこんな関係で、大人になったら離れちゃうかもしれないけど、それでも会った時にはバカ騒ぎしてるんだろうな。
ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
43 / 72