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進路
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Side 紅葉
無事に……と言っていいのかわからないけど初のカラオケも終わり、家に帰ってきた。
なんか疲れたわね。けど明日は部活もあるしバンドの練習もあるから譜読みしなきゃ……。小節番号も書いてないし。はぁ〜……なんか最近時間が足りてないのよね。勉強する時間を減らす……?それと楽器を弾く時間も減らして、それから──コンコン
「紅葉?」
「なあに」
ノックをしたのは銀杏だった。
「入るよー」
「ええ。どうしたの?」
「明日バンドあるから合わせないかと思って」
「私譜読みまだよ?」
「初見でもいけるでしょ」
「まぁ」
「じゃ、9時からやろ。その前にやること全部終わらせてね」
「わかったわ」
銀杏も私と同じくバンドをやっている。私はギターボーカルをやっていて、銀杏はドラムをやっている。とは言っても曲によって楽器は変わるからなんと言えないのだけれど。
「お風呂入って時間割調べて譜読みして……あと予習もしておかなきゃね……」
お風呂は多分銀杏が入ってるだろうから時間割調べましょう。
時間割をファイルから出す。
「あ……」
一緒に出てきたのは進路希望調査の紙。
進路のことを忘れてたわけではない。けどなりたいものが特になくて困っている。
とりあえず大学には行っとけって言われてるから行くには行くけどどの学部学科に行くかとか。結局は職業が決まらないとなんにも書けないのよね。
みんなはどうするんでしょうね。私たちが通ってる高校は進学校ということになっているから進学はするんでしょうけど。
音楽を活かす、家業を継ぐ、または全く別なことをする。何もピンと来るものはない。
来週から二者面談だしそこまでには決めなきゃ行けない。銀杏なんかは中学校からなりたいものを決めていて、大学附属の高校に通っている。
とりあえずあとで考えましょう。今はそんなゆっくり考えてる時間はないのよね。
「はぁ〜……」
この短時間で私の口からはため息がすごく出るようになってしまった。
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