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弱々しい
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Side 拓麻
紅葉は半年に1回くらいのペースで病み期みたいなものがくる。1週間くらいの期間で。
でも今回はちょっとひどい。具体的にどうとは言えないがとりあえずひどい。
現に今は今までは絶対になかったのに俺に跨って首に抱きついている。篠宮が見たら嫉妬しそうだがまぁ仕方ないだろう。それに俺は紅葉のことを恋愛対象としては見てないし。うん、問題ない。
「最近、みーくんが……すごい女の子にくっつかれてて」
「うん」
「その子たちみんなみーくんのこと、好きそうで」
「うん」
「私、見た目はこんなだけど中身は男だから」
なんかわかってきた。わかるぞ。うん。
「もし、この関係がこのまま、ずっと続いたら、続い……たら……」
「うん、わかったよ。大丈夫大丈夫」
泣き出した紅葉を慰める。大丈夫大丈夫と言い続けて背中を撫でる。
紅葉の心配はきっとこうだろう。
男同士だから結婚はもちろん子どもが作れない。そしてそれは自分たちの親に孫を見せてあげれないこととイコールで繋がっている。きっとその心配から今回の病み期が始まり大好きな音楽にも精が出せなくなり酷くなったんだろう。
「篠宮はさ、きっとそういうのもわかった上で紅葉に告ってると思うよ。だから気にしなくていい。もし何も考えてなかったら紅葉は怒るかもしれないけど俺が殴ってやるから」
「うん。ごめんなさい……」
ありがとうと言い終わると同時に紅葉が泣き疲れて眠ってしまった。
紅葉、もっと気楽に生きようよ。何も気にしなくていい。今はすぐそこの幸せを離さないで捕まえてろ。考えるのは何か問題が起きた時にしよう。最初から考えるのは社会に出たら必要なのかもしれないけれど、今は気にしないで。
自分で自分を苦しめるな。お前の周りにはたくさんの味方がいるんだから。
なーんてらしくもないことを考えたところで俺の上で涙を流しながら寝てる幼馴染みには通じないんだよなと思った。
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