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オムライスとヨーグルトジュース
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ふっと目を覚ました頃は夜も更けてきた頃だろうか、ぶるっと震えた身を擦ってトイレへ行こうと部屋へ出るとキッチンに明かりが灯っていた。
「……先輩?」
「……ただいま帰りました。どうしました?」
「トイレ……あ、ごめんなさい!俺やります!」
半分寝ぼけた頭を起こそうと目を擦っていて気付いた、俺がそのままにしてしまっていた食器を先輩が洗ってくれていたのだ。慌てて横に並ぶと、それはもうほぼ片付いてしまっていて心から申し訳なく思って自然と眉が下がる。
「そうですか?では、後はお願いしますね」
そんな俺を気遣ってなのか、先輩は濡れた手をタオルで拭いて俺の頭をポンと叩くと自分のマグを持って立ち去ってしまう。ああ、どうしてすぐに洗わなかったんだろう。先輩に迷惑をかけてしまったことがすごくすごく申し訳なくて悔しかった。
「……そうだ、ヨーグルトのジュース好きでしたっけ?」
「え?あ、俺は固形のヨーグルトの方が好きです」
「そうですよね?……おやすみなさい」
「あ、おやすみなさい」
どうしたんだろう。先輩は牛乳が好きでヨーグルトはあまり好きじゃないからいつも用意するのは牛乳だし、俺が食べたいときだけヨーグルトを買ってくるようにしてる。
なのに、どうして急にジュースなんだろう。
モヤモヤとした気持ちのまま食器を片し終えて、何か飲み物が欲しいと冷蔵庫を開けてその質問の理由を理解した。
阿野にあげようと思ってたジュースを渡すのを忘れてた。
きっと先輩はこのうちの冷蔵庫にあった珍しいものの所在を確かめたかったんだ。ああ、もう今度からは先輩に許可なく友達を部屋にあげるのはやめよう。
よくよく考えてみれば、先輩は部屋に誰かを連れて来たことがない。やっぱり共同で使う部屋なんだからプライバシーは守らないと。
きっと先輩は優しいから、色々とわかった上で何も言わないんだ。
でも、知らないところで自分の知らない人が部屋にあがっているのは嫌だよね、うん、ダメだ。ごめんなさい、先輩。
翌朝、またグズグズ駄々を捏ねた先輩を無理やり部屋から引きずり出すいつもの朝を何の変りもなく迎えて、一緒に朝ご飯を食べた。
そのときに、阿野を呼んだこと、一緒にご飯を食べたことと罰課題のプリントを一緒にやったことを説明して机に額を擦りつけて謝ったら「罰プリントはちゃんと終わりましたか?わからないところがあったら教えますよ」と、そう言ってくれた先輩に心から感謝して顔を上げるとにっこりとほほ笑んでくれていた。
そのとき、トクン。と聞いたことのない音がどこかで聞こえて、なぜだか自然と心臓を抑えて首を傾げた俺に、大丈夫ですか?と先輩が心配をしてくれた。
先輩、この音はなんですか?先輩には聞こえましたか?
もう遅刻をしてしまいそうな時刻なので、また後でおしえてください。
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