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お洒落と相反するもの、イコール XX
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学校も終わっていつもの帰り道。
寮は学校敷地から出てすぐ近くだから大した距離はないのだけれど、その距離感で十分すぎるほどに綺麗に並んでそびえ立つ木々が四季折々の色を見せてくれるから、ただただそれを見上げて感傷に浸ることが細やかなお気に入りになっていた。
黄色、紅、深緑、焦げ茶。
少し、肌寒くなってきたなあ……
葉の色が薄れて来たことに気付いた今日、そういえば冬物のアウターがないことに気が付いた。愛用していたコートは長年大切に使っていた寿命がきてあまりに古びてしまっていて、引っ越してくる際にお別れしてきたのだ。
「この辺で洋服ってどこで買うんだろう……」
そうだ、今日先輩に聞いてみよう。
そんなことを考えていたのに、先輩はこの日帰りが遅くて聞きそびれてしまった。
「絵所くん、寒くないの?」
珍しく先輩がすんなり起きてくれたある朝の事。
不意に先輩が聞いてくれた質問に、随分前に訪ねようとしていたことを思い出した。
「あ、そうだ。俺アウターないんです、この辺でいい店とかありますか?」
「んー……今週の日曜日に一緒に買い物に行きますか?僕もマフラー欲しいと思っていたんです」
先輩は俺と真逆でとても寒がりです。今もブレザーの下にパーカーを仕込んでいて、寒そうに袖の裾を伸ばしていて、マフラーよりも手袋を買ったほうがいいんじゃないかと思う。
俺はまだ全然寒くないし、これからセーターを仕込めば本当に寒くなるまで必要はないのだけれど、アウターは出掛ける時に1着は欲しいものだし、何より買い物に付き合って貰えることが嬉しくて二つ返事で大きく頷いていた。
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