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お洒落と相反するもの、イコール XX
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待ちに待った、楽しみにしていた休日。
先輩と出掛けるのは初めてで、少しでもおしゃれにしなくてはいけないんじゃないかって妙に気合いを入れて赤いチェックのネルシャツにセーターを重ねて、裾に折り返しで色がついているチノパンを合わせて、これにお気に入りのスニーカーを履く。
おかしなところはないだろうかと何度も鏡でチェックをしていたら、控えめなノックの音が響いた。
「絵所くん?そろそろ行けますか?」
「はい!!!」
慌てて鞄を引っ掴んで部屋から出ると、ブルーのシャツにグレーのジャケットを羽織った先輩が視界に飛び込んできて思わず固まってしまった。
合わせているのはジーンズだし、使っているものはノーマルなものばかりなのに高身長だとこんなに様になるのか。それとも先輩の甘い顔つきがそう思わせるのか、男の自分でも思わず見惚れてしまうものだった。
「……絵所くん?あ、髪の毛、変ですか?」
凝視したまま固まっているからきっと変に思われしまったのだろう、先輩は困ったような笑顔を浮かべている。
いつも適当に結んでいる髪が今日はお出かけ用なのかハーフアップされていて前髪もちゃんと横に流すようにセットされている。
あまりにも見つめてしまったから、きっとそれが失敗だと勘違いさせてしまったんだ。
「え!あ!いや!いつもと雰囲気違ったんで驚きました!似合ってます!」
むしろ何だか色気がたっぷりでどうしたんですか先輩、かっこいいです。
先輩って俺が出掛ける時まで寝てるか、俺が寝ている間に出掛けるかしてるし、帰りは先輩のほうが遅いから私服とかまともに見たことないんです、だから驚いているだけなんです、本当ですよ?
俺も先輩みたいにかっこよくなりたいなあ、まずは身長伸ばしたい。
先輩は沢山牛乳飲むから明日から先輩の倍飲もう。
「ありがとうございます、絵所くんはいつもお洒落ですよね。気に入る店あるか心配です」
困ったさんが柔らかい表情に変わる。ああ、やっぱり綺麗な顔だ。
どこまでも優しい先輩は、俺のことも褒めてくれるし気遣いもいつだって忘れない。今日だって俺が遠足前みたいに興奮して寝れなくて寝坊をした上に仕度に時間がかかってることに気付いてくれて、折角だから朝食を抜いて遅めのブランチにしませんか、と提案をしてくれた。
先輩はぎりぎりまで寝ているから、普段から仕度が本当に早くて慌てて起こした俺よりも圧倒的に早く仕度を終えていた。
そんな先輩とお互いどんな服が好きで、これから冬だからこんなものが欲しいねって話で盛り上がっているとあっという間にお店についてしまって、ああもっと話がしたかったなんて思ってしまう自分がいた。
それほどまでに先輩は知識が豊富で、引き出しが多くて、尚且つ聞き上手。きっとモテるんだろうなってお手本にしたいと心から思えた。
先輩の後を追って店内に入ると、先輩が履いているモスグリーンのかっこいい靴と色違いを見つけた。
「あ……」
「絵所くん、ここのメーカー好きですよね?」
「え?」
食い入るように手に取らず見つめていたら、背後から先輩が覗き込んで来てその顔の近さにどぎまぎした。
「今日ずっと僕の靴を見ていたから好きなんじゃないかと思って、一番初めのご紹介にしてみました。違っていました?」
気付かれていた、恥ずかしい。色々な意味で顔に熱が上って来て思わず手の甲で口元を隠して消え入りそうな声で、合ってます。とだけ答えると、真横で満足げな笑顔が見えた気がした。
憧れていて、かっこいいと思っているのは確かだけれど。だからと言ってさすがに色違いは買うとは言いにくい。本当はこれが欲しい。でも、本当に恥ずかしくて諦めた。
その代わりにこの店で綺麗な色の青いピーコートを買うことにした。ショート丈が似合うと思うと先輩に選んで貰ったコート。
なんだかそれだけのことなのに、自分がすごくお洒落になれた気がして上機嫌になったら笑っていたらしくて、俳優さんみたいにイケメンな店員さんに可愛いですね、と笑われてしまってまた顔から火を噴いた。
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