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お洒落と相反するもの、イコール XX
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あっさりと決まった目的の買い物に満足した俺は、上機嫌に生姜焼き定食を貪っていた。
ブランチ、というからどんなお洒落なものになってしまうのかと緊張していたら、意外なまでに言い方が悪ければ古びた定食屋へ連れてこられたのだ。
ここのサバの味噌煮定食が好きなんです、と先輩はご飯大盛りで嬉しそうに食べている。
お洒落した男がふたり、少し客入りの落ち着いた定食屋で大盛りに食らいついている。
これ、はっきり言って見た目は不似合ではあるけれど、お洒落なカフェに行くより正直とても……落ち着くし、すっごく美味しい。
ご飯は美味しいし、量が多いのに良心的な値段だし、安心感たっぷりな店内は落ち着くし、先輩も楽しそうだから段々と気分もよくなってきて。
自然とにこにこしていたら、おばちゃんに気に入られて美味しくなる作り方の秘訣を教えてくれた。今度このレシピで先輩にサバの味噌煮作ってあげよう。
仲良くなってゆっくりしすぎてしまったお店にまた来るね、と別れを告げてから。
俺はコートも手に入ったし、先輩もマフラーを買ってた。正直これで用はなくなったからもう帰宅かな、寂しいな、などと名残惜しさが込み上げてきて先輩を見上げると何か考え事をしている。
「先輩?」
「絵所くん、確か部屋のカーテンが古くて破けましたよね」
「ああ……遮光カーテン、でしたっけ。びりっびりですね」
「丁度いいですね、今日はそれも買いに行きましょう」
きっと目を輝かせて頷いてしまったんだろうな、犬を撫でるように先輩が頭を撫でてきた。
それさえも嬉しくて、お兄ちゃんができたみたいで、先輩のおかげで寂しさを感じる時間が大きく半減した。
楽しいと思える時間が沢山増えた。
先輩、先輩、ありがとうございます。先輩、楽しいです。
その後、この際だからカーテンも変えてしまおうとお互いの意見がぶつかり合い、大揉めした結果、俺が勝って黄色いカーテンに決まった。
先輩って青が好きなんですね。
家具が茶色が大いし、黄色のほうが部屋が明るくなっていいと思うんです。だから負けません。
初めて二人で選んだ、二人の住む部屋のもの。
家具とか食器とかを隅々までこれがあったほうが、あれがあったほうがと騒ぎ遊んでいたら店を出るころには結構な時間が経っていて外は日も沈んで暗くなっていた。
早く新しいカーテンをつけたくて帰宅を急かしたのに、夕飯を食べて帰ろうと大荷物を抱えたまま入った牛丼屋。
早く帰ろうとわめいていたとは思えないほどに大人しく大盛りをがっつく俺に先輩は笑っていたのを知ってる。だって、はしゃいだからお腹はすいてたんです。仕方がないじゃないですか。
こうして、楽しかった1日はあっという間に終わった。
図々しくも極自然に、また連れて行ってくださいと約束が出来た。
楽しい明日が来るっていうことに期待できること、明日という日を楽しみに眠りにつけること。
それがどれほどに幸せなことか、先輩のお陰で知ることができました。
しゃらら、しゃらんら。
キラキラとした星に散りばめられた綺麗な夢を見る。
そうして、目覚めたときにリビングに揺れる黄色いカーテンを開ける瞬間が、一日の一番初めにそれをできることが、明日からの俺の幸せの始まり。
あ、そうそう。牛乳を先輩の飲む量の倍、摂取することも忘れずに。
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