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マーブル模様の混ざり具合
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3泊4日の修学旅行。
俺たち中学2年生は、京都に来ていた。
完全に冬真っ只中なこの季節、暑がりの俺でもコートを着込まないと寒い。京都ってところは芯から冷える気温なようだ。
俺は、先輩と買いに行ったコートの出番をこのときと決めていて、とてもわくわくしていた。
先輩が選んでくれたコートは周りの同級生から見ても一目置くようで、みんなから口々に称賛を浴びた。
そうでしょう、そうでしょう。俺もそう思う。
にやつく口元を手で隠していると、真横の至近距離から思い切り覗き込まれた。
……阿野だ。
「なーに」
「よしくんにやついてるー」
「にやついてないよ」
「嘘だねーわかりやすー嘘下手ー!このコート似合ってるね、新しく買ったの?」
見たことがないアウターに阿野も興味があったのか腕を少し摘み上げられたので、自然とそちらに視線を送って俺はひとつ頷いた。
「先輩が選んでくれた」
「一緒にお買い物行ったの?なっかよしー!」
そう茶化すように言う阿野は、そのまま俺の腕を掴むように持ち替えて俺の歩幅を誘導する。移動していく団体の最後尾について、腕はそのままにゆっくりとした足取りで歩くから疑問の眼差しを向けると、にこにこといつもの笑顔が返ってきた。
「青選ぶの初めてだなーって思って、そのセンスをあやかろうと思ったのにー!」
「阿野センスいいじゃん」
「わー!ほめられたー!」
いつものふざけたテンションは声が大きいこともあって、自分たちの前を歩くクラスメートがクスクスと此方を見て楽しそうに笑ってるから俺も阿野に合わせて、俺ほどじゃないけどねー!とはしゃいで見せた。
移動で殆どを終えてしまった初日は、皆で旅館の大広間で食事を取って、寮よりも大きい大浴場ではしゃいで怒られて、班分けされた部屋でまくら投げを盛大にやったのがバレて1時間正座で説教された。
「あー足痺れたーいーたーいー!」
「えーい!つんつん攻撃ー!」
「痛い痛い痛い!ばかー!やめてバカ!」
痺れ過ぎて立ち上がれないでモダモダと布団の上で転がっていたら、隣りで同じく転がっていた阿野が人差し指で思い切り突いてきた。
それは可愛げもなく強いもので、思わずその激痛に大声が出て取っ組み合いを挑もうと阿野の襟首を掴んで上に乗りマウントポジションを奪ったところで枕が吹っ飛んできて、まともに直撃した俺は沈没した。
「絵所と阿野じゃれないで!また先生来るから静かにして!」
「「はーい」」
あれほど一緒に騒いでいた班長もさすがにもう怒られるのは嫌だったのか割と真剣に怒っていらっしゃったので、俺と阿野は静かに布団に潜り込んだ。
ごめんね、班長。大人しくしとく。
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