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翌日、すっきりと起きられた俺は上機嫌に観光名所を回っていた。
2日目は予め回りたいところを決めて班で行動するプランで、俺たちの班は有名な観光名所を巡る日程になっていた。
昨日ご立腹だった班長もお寺が好きなこともあってか今日は上機嫌で先導きって誘導してくれているから、俺と阿野は相変わらずべちゃくちゃと喋りながら後を追う形になっていてすごく楽。
他の班は買い物とか食い倒れとからしいけれど、正直なとこ丸1日を買い物で回るほどお金ないと思うんだよね。
あ、でも先輩には何か買って帰りたいなー何がいいかな。
白い息をふーっと伸ばして雪でも降りそうな澄んだ空を見上げてみると、鼻が真っ赤な阿野がまた覗きこんでいた。
「なーに」
「なに考えてる?」
「お土産何にしよーかなーって」
「俺たちそんな時間あったっけ?」
「池鶴が彼女にお土産買いたいって言ってたよ」
「えー!池ちん彼女いたのー!?」
本当は5人で班員なのだが人数の都合で班長、俺、阿野、池鶴の4人で班構成されている俺たちは、同じ場所を共有して比較的に目的地で半分に分かれて自由に行動していた。
こうして移動中や部屋ではちゃんと4人で戯れるので、2人ずつで組み合わさった割に居心地がよくて安心して楽しめている。
学年集合した朝食の後、4人で有名な観光名所をまわり尽くして、昼はまた学年集合で美味しい京ご膳を食べて、そこからまた班行動という自由度高めな日程の中、俺たちは予定を完全に網羅し終えていた。
「じゃー池ちんの彼女にお土産買いに今から買い物タイムにしよーよー」
「何買えばいいかな」
「女の子ならあぶら取り紙じゃないの?」
「なんだっけ、あのこけしみたいなマークのやつ?」
「あーうーん……欲しがらないかも」
そっかーと頭を悩ませる4人。他の班は女子の班と合同で回っている男子も多くて、買い物メインになるのが嫌で誘いを片っ端から断り尽くした俺たちは此処で初めてそれを後悔することとなった。
「じゃあさー!どっか大きなお土産屋さん入ろ!」
「そうだね、そこでまた二手に分かれてもいいね」
「そうしよう」
満場一致で決定した緊急プランにも柔軟な4人はあっさりと決定、決行された。
さすがは観光名所ともあってお土産屋さんを見つけるのは簡単だったが、割と抹茶やお茶の関連商品が多かった。
阿野と2人で色々と手に取って品定めしていても、一向に先輩へのお土産が決まらない。うーん、どうしよう。班長はフリーって言ってたし、これじゃ池鶴もきっと決められてないだろうな。
「やっぱ女子の班を途中で誘えばよかったかな」
「……うーん、でもなー」
「なに?」
「池ちんイケメンだし、班長も何気に女子人気高いからちょっと面倒かもー」
「あ、そうなの?」
「よしくんは鈍すぎだよー」
後頭部に両手を組んで商品を宣伝する垂れ幕を眺めながらそう口にする阿野は正直意外だった。阿野ってよく見てるんだ。いつもバカ言ってるのはデフォ?
「そっか、それあの二人わかってるの?」
「池ちんは分かってないだろうけど、班長は分かってるね~」
「そっかーだから班長は容赦なく断ってたのかー」
「寺の見学の邪魔とか思ってると思ってた?」
「うん」
真面目に即答した俺に阿野はカラカラと軽い音を鳴らして盛大な笑い方をしている。それを見てふて腐れた俺に、機嫌取りをしようと変顔や似てない物まねを必死にしてくるから、やっぱりこいつはバカなんだ、うん、俺の気のせい。
結局何も見つけられないまま時間がきてしまって、合流した池鶴は京都らしいちりめん素材の眼鏡ケースを購入したと言っていた。梱包してあるからさすがに中身は見れなかったけれど、きっと赤とか綺麗な色のものを選んだろうな。
先輩だったらやっぱり青が好きだし、そういった色を買ったら喜ぶだろうか。
出かけ間際に、気を付けて楽しんできてくださいね。と笑顔でお見送りしてくれた先輩はその日は珍しく愚図ることなく起きてくれた。
そんな先輩にお土産を買って帰ったら、嬉しそうに笑ってくれるだろうか。
その日の夜、先日のこともあって見回りが強化された俺たちは消灯の時間までみっちりと監視されていたので、お喋りすることもなくみんな大人しく布団に潜った。
……よしくん。
……おーきて。
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