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4月1日
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眩暈するほどの雄大な銀河のような夢の中では言いたいことも素直に言えるのです。
目覚めてしまうと現実の朝がやってきて、ほの暗い夜をまた待ちわびてしまうのです。
また新しい季節が巡ってきました、とても憂鬱な時期ですね。
覚えた言葉が増えた分だけ忘れてしまったことも増えました。
それはきっと貴方の顔も忘れてしまったということになるのでしょうか。
自分についた些細な嘘がささくれになって気にしている内に傷になりました。
痛くて痛くて、それをまた見ないふりをするために夢に溺れに行くのです。
貴方に伝えられなかった愛していると、貴方に望んだ愛されたいを夢の中に捨ててきました、そうすることで救われたいという想いと共に逃げられると思うのです。
誰も嫌わない、嫌いなのは自分だけで十分だから。
誰も愛さない、愛するのは貴方だけだから。
似た者同士がいけなかったのです。
ただ、そう勝手に思っただけで、ささくれが大きく剥けて傷むのです。
どうすることもできないのに、手を差しのばそうだなんて。それこそ浅はかな偽善だったのです。
花に埋もれた夢を見れば、そこから伸びて咲いてきた手を掴めるのに。その手を掴んでもひとつになれないとわかっていても、温もりがわからなくても手を重ね合わせることができるのに。
海に沈む夢を見れば、深海に浮かぶ蝋燭の火が揺れることで浮かんでくる空気の玉を飲み込むと貴方の声が聞こえてくるのに。それが本当に貴方が言っていることではないとわかっていても、その声の音が貴方だと忘れずにいられるのに。
空を浮かぶ夢を見れば、バラバラに割れるガラスと共に落ちるときにそこに映る優しく微笑む目を見ることができるのに。そこにいないとわかっていても、その瞳が貴方だと忘れなくてすむのに。
いつだって光は差し込んでくるのに、その手を掴むことはできないのです。
暗い、暗い、闇の深い方へ向かいたいと目を背けてしまうのです。
そうすることなど望まれていないと気付いているのに、気付きたくないのです。
そっくりな自分に惹かれている想いなんて気付いているのに、気付きたくないのです。
そうして今日も夢の中に逃げ込む自分を嫌ってしまって仕方がありません。
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