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秋、萌ゆる頃
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「阿野、ホモってどう思う?」
「ホ……!?え、本当どうしたの」
「いーから、どう思う?」
「どうって……俺はホモじゃないからわからないけど、好きになっちゃったならしょうがないんじゃない?」
入口近くの机に腰かけてボールに腕を乗っけてこちらを気に掛ける姿はずっと変わらないね。傍に寄らないで距離を取るところが阿野らしい。しかも動揺してるのが手に取るようにわかるから何だか落ち込んでいたことを忘れそうになる。
ボールを持ったままということは阿野が直接来たってことで。それはつまり職員室で俺がここの鍵を借りたって聞いたってことで、きっとあの先生はお喋りだから話しているだろうし、阿野は全部知ってるということになる。
俺が哲さんを好きだってことも、哲さんが海外に行ってしまったってことも。
「わかってて言ってる?」
哲さんを想って今泣きそうなこの気持ちを我慢しているってことも。
「ごめん、先輩のこと聞いちゃった。海外行っちゃったんでしょ?行っておいでよ」
「……簡単に言うなよ」
「簡単に言う!あの絵、先輩に押し付けてやろうよ!」
「……あー!もう!阿野の単純移ったー」
「へへへ」
「……あんがと」
「へへへ~どういたしまして」
照れくさそうに嬉しそうにお互いに笑った。泣くより、笑おう。
ちゃんと相談できて、応援してくれて、一緒に笑ってくれる友達がいるのだから、意外に目敏いこの友人にしっかりバレてる哲さんの絵も届けたい。
哲さん、ちゃんとコンクールで賞を取りました。今回は銀賞だったので、次回ちゃんと金賞取ります。
2年になったら生徒会長になって天文学部を存続させますね。
俺、頑張ります。だから、哲さんと一緒に……まだ一緒に、頑張らせてください。
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