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終わらせなんてしません
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お久しぶりです。
高校三年の絵所美教です。
二年間という短い期間でしたが、その節はお世話になりました。
我が学校は中等部と高等部の一貫で、全寮制である。
入学と同時に中等部の一年生と高等部の一年生がペアを組んで、三年間の相部屋生活がスタートする。
とても綺麗好きな人と二年間を共にしたお陰で、俺も綺麗好きになりました。
リビングもトイレも、簡単な水周りさえも。見渡す限り綺麗に使っています。引き継いだ簡易ガスコンロと調理道具も俺の料理の上達と共に増えていき、今では狭いながらもすっかり立派なキッチンとなりました。
俺の身長より大分小さい冷蔵庫を開ければ中身は一人分。一年生の時に相部屋に決まった子は真面目できっちりとしたいい子だった。けれど、その真面目すぎる性格が仇となって訳合って転校してしまい、その時期が二年の半ば過ぎだったこともあって、それ以来ずっとひとり部屋。きっと哲さんはこんな気持ちで過ごしていたのでしょうね。
今は阿野がよく入り浸っていて、後輩君が使っていた部屋に私物をやたら持ち込んでいます。
俺は、哲さんが居なくなったあと、哲さんの使っていた部屋に荷物をそっくり移し替えました。色々と残して行って貰ったものを優先的に使用しているので、この部屋には哲さんの気配が未だにします。
ケトルでわかしたお湯で、ロイヤルミルクティーを淹れて黄色いカーテンを開ける。この朝の習慣も変わりません。
甘くて温かくて優しくてほっとする大切な味。哲さんが心細い俺にくれた優しさの味。
俺はもう高校を卒業しようとしているのに、未だにあなたの事が忘れられません。
あなたが好きで好きで好きでたまりません。
哲さんが卒業して人数が足りなくなって廃部してしまった天文部は、俺が生徒会の会長に就任して強引に存続させました。
哲さんがあそこに居たこと、俺が居る間だけでも確率させたかったんです。
哲さん、会いたいです。
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