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CAGE1:それは奇妙な巡り合わせ25
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洋side
押し黙ってしまった立花を横目で見る。
俯いている顔はその表情が窺えない。
ーー神なんて居やしない。
どんなに願ったってカミサマは俺を救っちゃくれなかった。
救えるのも、すがれるのも、信頼出来るのも自分自身だけだ。
それから立花が口を開くことはなく、会話は途切れた。
そのまま時間だけが過ぎ、12時を回ると正門に雪見の姿が見えた。
「行くぞ。」
俺が声を掛ければ、立花は下を向いたまま立ち上がった。
会計の際、店員がまた来て下さいと愛想のいい笑みを浮かべていた。
正門に背中を預け、俺達を待っていた雪見は俺達を見つけて不思議そうに首を傾げた。
「何かありましたか?」
「………何が?」
「いえ、何だかちょっと朝と雰囲気が違ったんで」
と言いながら雪見の視線は俺の後ろ。
立花はそれに気がついて、更に俺の後ろへと隠れてしまった。
「気にしなくていい、こちらの問題だ。」
「そうですか…」
と言いつつも立花ことが気になるようだ。
「今日もバイトか?」
「いえ、今日は休みです。このまま家に帰ります。」
了承の言葉を返せば、雪見は帰路に着く。
道中、立花を振り返る様子もあったが、当の本人は俺の後ろに隠れたまま何も話すことはしなかった。
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