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CAGE2:あの日の同罪ー立花 直ー7
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映画は2時間と少し上映され、内容もなかなか面白いものだった。
映画館というものに来たのは初めてだったが、また来るのも悪くない。
何度か横目で見た立花も楽しんでいたようだった。
上映が終わり、人がある程度居なくなってから外へ出る。
「あの、退屈じゃありませんでしたか?」
おずおずと訊いてくる立花。
コイツはまた人の事ばかりだな…。
「………アンタは?」
「え…」
「楽しめたか?」
「……はい。とても」
「そうか。ならいい。」
立花は困った顔をして、ありがとうございますと口にした。
「あ…」
小さく呟かれた声に、立花の視線の先を追う。
『クレープ』と書かれた看板が目に入る。
「……食いたい?」
「………はい。」
申し訳なさそうに少し俯いて、小さな返答がした。
何故こんなにも遠慮するんだか……。
下を向いたままの頭を撫でた。
「……行くぞ。」
店に向かって歩き始めた俺を立花は慌てて追いかけてくる。
「い、いいんですか?」
「ああ、俺も興味ある。」
店に近付けば甘い香りが鼻を擽った。
豊富なメニューが書かれた看板を前に、立花は睨めっ子だ。
「バナナか…イチゴか…悩みます。倉橋さん、甘いの苦手ですよね?甘くないのもあるみたいですよ。」
「……ん、それにする。」
「うーん、じゃあ僕は王道のチョコバナナにします。」
注文をする立花は無邪気に笑っている。
ちらりと店員の男を見れば、少し頬を染めていた。
……まあ、気持ちも分からなくはない。
が、面白くないのも確かだ。
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