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CAGE3:少年の記憶と過ち14
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僕と一緒に買ってきた食材を仕舞い込んでくれている倉橋さんに、そっと耳打ちをした。
「何だか随分様子が変わりましたが、一体どんな魔法を掛けたんですか?」
「………アンタと同じ。」
「僕ですか?」
「……ん。アンタが俺に掛けたのと同じ。」
同じと言われても……
僕、倉橋さんに何もしてないんですが……。
「……暁斗を助けたいと思うか?」
「当たり前です。」
「……ならいい。」
食材を仕舞い終わって、倉橋さんは少し出掛けると言って準備を始めた。
「遅くなりそうですか?」
「いや、すぐ戻る。上月から呼び出しだ。」
「分かりました。気を付けてくださいね。」
「ん。」
玄関まで見送り、ハグをする。
そうしたら当然のように回された腕にドキドキした。
「……なんだ?」
胸元からぼーっと倉橋さんの顔を見つめてしまって、怪訝な顔をされた。
「腕、回してくださるようになったんだなって実感してました。“人の体温って安心して、幸せになるね。”と昔、母が言っていました。僕がこのルールにこだわったのは、僕の体温が少しずつ、少しずつ貴方に伝わればいいと思ったからです。」
そう言ったら倉橋さんの腕の力が少し強まって、身を屈めるように抱え込まれ、肩口に顔を埋められた。
「…アンタの温もりは安心する。」
伝わってきた倉橋さんの心臓の音は、僕と同じ速さで脈打っていた。
倉橋さんもドキドキしてくれてるのかな……。
「…伝わってるさ、ちゃんとな。」
そう言って倉橋さんは身体を離した。
「行ってくる。」
「行ってらっしゃい。待ってますね。」
ドアが閉まったのを確認して、ホッと息をつく。
まだ心臓が鳴りやまない。
気持ちを切り替えようと後ろを振り向くと、リビングから顔を出していた暁斗くんと目が合った。
「…………もしかして、見てました?」
「う、うん……」
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