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CAGE3:少年の記憶と過ち15
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いけないことをしていたわけではないけれど、何だか気恥ずかしい。
「ごめんなさい、声掛けづらくて……」
「いえ、その…こちらこそ。」
「あ、でも倉橋さんは気付いてたよ!途中で目、合ったし……」
「そ、そうですか……」
倉橋さんも教えてくれればいいのに……。
「えっとですね、出掛ける前にハグをするのがここのルールなんです。」
「ルール?」
「はい、僕と倉橋さんとのルールです。でも暁斗くんもここにいるなら、ちゃんと従って貰いますからね。」
「え!?俺も…?」
「そうですよ。」
リビングに戻って、暁斗くんに向けて両腕を広げる。
「はい、どうぞ。」
「い、今!?」
「予行練習です。」
「うー……」
少し渋っていた暁斗くんはおずおずと腕の中に入ってくる。
怖がらせないようにゆっくり優しく腕を回す。
「心臓……鳴ってる……」
「生きてますから。暁斗くんの心音も伝わってきますよ。暁斗くんが生きているんだって分かります。」
急に腕の中の身体が小刻みに揺れ始めた。
怖がらせてしまっただろうかと覗き見たら、腕の中で静かに涙が流れていた。
「俺は、ちゃんと生きてる……」
「ええ、生きてますよ。大丈夫、ちゃんと温かい。」
彼の涙が止まるまで、僕は静かにその背中を撫で続けた。
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