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CAGE3:少年の記憶と過ち18
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「蒼くん、同じ仲間なんだから仲良くしようね。」
上月に言われてもそんなことは関係ないと、蒼は反応しなかった。
「全く……何年経ってもじゃじゃ馬だね、君は。」
やれやれと上月は肩を竦める。
「あの……」
と呟かれた言葉に視線を流せば、弟の方が蒼の影に隠れた状態で俺を見ていた。
「すみません……兄が失礼を。」
弟、紅の方は割りと社交的らしい。
怯えてはいるが拒絶したいわけでは無さそうだ。
「紅、余計なこと言うな。」
「でも蒼兄さん、この人は僕らと同じ何でも屋の人だろう?じゃあ悪い人ではないよ。」
「…………」
「だから、ね?」
「勝手にしろ。」
意外と主導権は弟が握っているらしい。
「えっと、初めまして。僕が弟の紅で、こっちが兄の蒼です。」
紅は相変わらず影から出てくることはないが、ペコリと頭を下げた。
「……ああ、倉橋だ。」
「ええ、知っていますよ。倉橋 洋さん。もちろん立花 直さんのことも。」
立花の名前が出たことには驚いたが、上月が俺達について調べたと言っていたことを思い出し、大方コイツらが情報収集したのだろうと容易に見当がついた。
てことは、俺達の過去も知ってるって訳か。
初対面の人間が過去までも知っていると言うのは、些かいい気分ではない。
それを察してか、紅は眉尻を下げた。
「ごめんなさい、勝手に調べたりして。」
「紅、謝るな。それが俺達の仕事だ。」
咎めるような口調の蒼だが、その手は優しく紅の頭を撫でた。
「……別に気にしていない。過去なんて隠したって消せるものではないからな。」
フォローのつもりはない、事実を言っただけだ。
紅は少し困った顔をして、ありがとうございますと口にした。
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