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CAGE3:少年の記憶と過ち23
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洋兄は視線を上げて、少し驚いたような目をした。
お、怒られるかな……。
笑いもしないその表情に心臓はバクバク鳴っている。
洋兄は何か言うでもなく、ちょいちょいと俺に手招きをした。
おずおず近付けば、今度は手が伸びてくる。
反射的に目を瞑って身構えてしまったら、クスクスと笑い声が聞こえた。
恐る恐る目を開けば、笑っているのは洋兄だ。
「そんなに強張るな。痛いことはしない。」
そう言って大きな手が頭に乗せられる。
「…ただいま。」
朗らかな笑みとは言えないけれど、口角が上がっているように思える。
じんわりとした温かな気持ちが胸に広がり、つーんとした感覚が鼻の奥からする。
両肩に重みを感じて見上げれば、直兄が笑って俺を見下ろしていた。
「ね?大丈夫だったでしょう?」
この感じ何だか懐かしい。
昔……
そうだ、まだ母さんが生きていた頃……あの頃感じたこの気持ち。
「……直兄、洋兄、ありがと。すっごく温かい。」
じわりと滲むのは温かな涙だ。
「さあ、ご飯にしましょう。今日は暁斗くんも手伝ってくれたので、凄く美味しく出来ました。」
直兄の言葉に洋兄も楽しみだと返した。
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