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CAGE3:少年の記憶と過ち24
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直 side
夕食のミートソースは格別に美味しかった。
倉橋さんがいて、暁斗くんがいて、僕がいて……
こんな風に明るい食卓は久し振りだ。
「倉橋さん、どうですか?」
「……ん、悪くない。」
「ふふふ、やりましたね、暁斗くん。」
暁斗くんは照れ笑いを浮かべて頷いた。
食後にはプリンを食べた。
これも凄く美味しかったけれど、倉橋さんには甘かったのか、必死に珈琲を飲みながら食べきっていた。
それから後片付けを終えて一息つく頃、倉橋さんから話があると口を開いた。
僕と暁斗くんは倉橋さんと向かい合うように座る。
「……暁斗の父親が警察に捜索願いを出したらしい。」
暁斗くんはビクッと身体を震わせた。
「な、んで……」
「連れ戻したいんだろう。」
「い、嫌だ!俺は、戻りたくない!絶対!戻るぐらいなら、死んだ方がマシだ!」
僕は取り乱した暁斗くんの手を取り、抱え込むように抱き締めた。
「やだ……嫌だ……あんなの、もう…」
「……分かってる、落ち着け。何も引き渡そうとしている訳じゃない。暫くの間、外出を控えてほしいと言う話だ。今すぐには無理だが、この町を出る。そうしないとお前は自由になれない。」
「一緒に、逃げてくれるってこと?」
「……そうだ。」
「本当に……?」
「お前が幸せになるのを見届けるまで依頼は完了しない。引き受けたからには、最後までやり通す。」
暁斗くんに向けられていた視線が、今度は僕を捕らえる。
「…アンタはどうする?この依頼は俺が引き受けた。アンタがどうするかは自分で決めろ。」
そんな事を言われても僕の答えなんて決まっている。
「行きますよ、一緒に。約束したじゃないですか。貴方を幸せにするのは僕だって。」
そう言うと思った、と倉橋さんは笑った。
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