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CAGE3:少年の記憶と過ち30
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暁斗くんと住み始めるようになって、倉橋さんはまた変わったように思う。
以前よりも言葉を口にすることが増えた。
倉橋さんなりに子供に対して気遣っているのかもしれない。
「……何もないならいい。用意がないなら、どこか外食にするか?」
倉橋さんの提案に暁斗くんは目を輝かせた。
「ですが外出は危ないのでは?」
「この辺をうろつくのはな。そんなに遅い時間じゃないんだ、少し遠出にしよう。」
倉橋さんはスマホを取りだし、タクシーを呼んだ。
「ふふふ」
「何だ?」
電話を終えた倉橋さんを見て、思わず笑ってしまった。
「倉橋さんから皆でご飯に行こうなんて提案が出るなんて思いもしませんでした。変わりましたね。」
「…………そうかもな。」
そんなことない、と言われると思ったのに。
意外にも倉橋さんは笑みを浮かべ、納得した。
「ねぇねぇ、なに食べるの?」
「……暁斗の好きなものでいい。」
「わぁーい!洋兄、大好き!」
腰に抱きついた暁斗くんを倉橋さんは抱えあげた。
「わっ!」
「まだ小さい。たくさん食って成長しろ。」
「まだこれからだし……すぐに洋兄も直兄も抜いてやるんだからね!」
「ふっ……楽しみにしてる。まぁ、立花ぐらいならすぐ抜けるだろ。」
と倉橋さんは失礼なことを言う。
「ぼ、僕だって負けません!」
「アンタはこれ以上成長しないだろ…」
「それなりに食べてるのに。」
「ふーん……」
倉橋さんはニヤリと笑った。
すごく嫌な予感が………
暁斗くんを降ろすと、今度は僕の方に近付いてくる。
気付いたときにはもう遅くて、僕は倉橋さんに腕を取られていた。
逃げることが叶わなくて、膝の裏に手を差し入れられ、横抱きにされてしまう。
「や、ちょっーー」
「……軽すぎ。もっと食え。」
僕だって男だ。
こんな風に横抱きにされるのは抵抗があるし、恥ずかしい。
「洋兄、力持ち!」
「お、お願いですから降ろしてください…」
恥ずかしくて顔が熱い……絶対赤くなってしまってる。
「このままタクシーまで運んでやろうか?」
「け、結構です!」
じたばた暴れたら、漸く腕から解放される。
倉橋さんは楽しそうに喉を鳴らし、笑っていた。
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