アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
CAGE3:少年の記憶と過ち31
-
洋side
タクシーに揺られて、隣町まで足を運んだ。
人の少ない小さな店が良かったが、あえて人の多い店を選んだ。
この方が圧倒的に紛れやすい。
色んなものが頼めるようにとファミレスを選んだ。
チェーン店で特別高い店でもない。
それでも立花も暁斗も目を輝かせ喜んでいた。
店に入ればまだ若い女性の店員が席まで案内をしてくれる。
しどろもどろになりながらメニュー表を渡す様子から、新人なのだろうかと推測する。
ジーっと見られていることに気が付いて、少し微笑んだ。
もしかしたら怪しまれているのかもしれない。こういう時は当たり障りのない態度を取る方が懸命だ。
そうしたら女性店員は頬を染めてそそくさと立ち去った。
とりあえず怪しまれていたわけではなさそうだ。
肩の力を抜き、メニュー表に目を通そうとして、目の前の冷ややかな視線に気が付く。
「……何だ?」
「……別に何でもありません。」
どこか不貞腐れたように立花はメニュー表で顔を隠す。
立花の隣に腰掛けていた暁斗はやれやれと肩を竦めた。
……何なんだ、一体。
「洋兄も罪な男だね。」
「………?」
「全く鈍いんだから。直兄はね、さっきの女性にヤキモーーんん!」
話の途中で、暁斗は立花によって口を塞がれてしまった。
「暁斗くん、余計なこと言うとデザート無しですよ?」
脅し文句は大したことないが、その目はかなり本気だ。
暁斗はコクンコクンと首を縦に振り、立花はその手を解放した。
「おい……?」
「何でもありません。早くメニュー決めましょう。」
理由は分からないが俺が立花の機嫌を損ねたのは間違いないらしい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
118 / 269