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CAGE3:少年の記憶と過ち32
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それぞれメニューを決めて呼び鈴を鳴らせば、先程の店員が注文を取りに来る。
注文を取る間もチラチラと向けられる視線に気付かない振りをした。
面倒だな……。
店員が下がっていっても立花の機嫌は一向に良くならない。
「……何怒ってんだ?」
「……怒ってません。」
そのうち料理が運ばれてくる。
暁斗はハンバーグ、立花はオムライス、俺は焼き魚と物はバラバラだがどれも美味しそうだ。
最後に伝票を置きに来たさっきの女性店員は、
あからさまに俺に向けて笑みを浮かべた。
それには何も返さず、目の前の食事に手をつける。
ガツガツとオムライスを食べる立花は明らかに機嫌が悪い。
暁斗は知らない振りを決め込むらしい。
こういう時、どういう風に声を掛けたらいいのか分からない。
人の機嫌を取るなんてやったこともない。
困ったな……と思いつつ食事を終えて、トイレに席を立つ。
席へ戻ろうとすると、例の店員が行く手を塞いだ。
「………?」
「あの、」
俺の目の前に立ち、声を潜めた。
「私、あなたに一目惚れしてしまいました!連絡先、お訊きしたらダメですか?」
顔を真っ赤にさせ目をぎゅっと瞑る女性に、俺は思わず頭を抱えた。
……次から次へと、どうしてこんな面倒なことになるんだ。
「ご迷惑、でしょうか?」
どうしたものか……あまり目立つことはしたくない。
冷たくあしらって泣かれでもしたら面倒だ。
人はどのタイミングで涙するのか、俺には分からない。
かと言って連絡先を教える気もない。
一番無難な選択は……。
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