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CAGE3:少年の記憶と過ち43
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笠見さんという女性は肩を竦めた。
「知っている。けれど教えることはできない。」
チッと舌打ちが聞こえた後、倉橋さんはずかずかと女性に近付き距離を詰めた。
「…アンタら警察は何も守ってはくれない。アンタらは何も守れない。暁斗の家を教えろ。」
「私達にも守秘義務がある。」
「じゃあその守秘義務が何かを、人を守ってくれるのか!?」
ダンッと壁を打つ音。
倉橋さんの拳が壁に打ち付けられていた。
「……人を死なせたくないなら暁斗の家を教えろ。」
笠見さんは眉間にシワを寄せ、首を捻る。
「……どういう意味?」
「そのままだ。このままじゃアイツが…」
未だ壁に置いたままの手がぎゅっと握り締められた。
「昔とは違う。守りたいものは自分の手で守る。」
倉橋さんの手が笠見さんの胸ぐらを掴んだ。
「ーー倉橋さん!?」
「……守りたいもののためなら、どんな犠牲も厭わない。」
少しの間睨み合った二人は、笠見さんの溜め息で均衡を崩した。
「一つだけ教えてあげる。女性の胸ぐらを掴むのはNGよ。…藤堂!楠木暁斗の家に行く。」
「え!?」
「調査だ。早く車を回せ。」
「は、はい!」
言われ藤堂さんと呼ばれた男性は駆けていってしまう。
「ついて来る来ないは任せるわよ。」
倉橋さんの手を振り払い、笠見さんも藤堂さんの背中を追うように出ていってしまう。
「…行きましょう、倉橋さん。今はそれしか手懸かりがありません。」
「……ああ。」
煮え切らない様子ではあったけれど、僕と倉橋さんもその後に続いた。
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