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CAGE3:少年の記憶と過ち44
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暁斗 side
真っ暗な微睡みから不意に目が覚めた。
何だか見覚えのある景色だ。
ゆっくりと起き上がったらズキッと頭が痛んだ。
思わず頭を抑えて、周りを見る。
「ここは……」
そこは酷く懐かしい地獄のような場所。
「おかえり、暁斗。」
背中から声がして、振り返ればにんまりと笑う親父の姿があった。
途端身体が震えた。
そうだ、ドア開けたらコイツがいて頭殴られて……
それから…
気を失ってる間にここに運ばれたんだ……。
この家に。
俺が生まれたときから住んでいた家。
母との楽しい思い出もあるけれど、身体が覚えているのは親父との苦い思い出だ。
「寂しかったよ、暁斗。急に居なくなったらダメだろ?」
近付いてくる親父の手にナイフが握られていることに気が付いた。
「や、やめろ!来るな!」
「暁斗、父親になんて口を利くんだ。そんなに悪い子に育てた覚えはないぞ。」
一歩一歩近付かれる度、身体が竦んでしまう。
「おかしいなぁ。少し前の暁斗はそんなに悪い子じゃなかったのに。俺の言うこと、やることは受け入れてくれていただろう?」
違う。
受け入れていたんじゃない、諦めていただけ。
死にたいと思っていただけ。
でもこうしてまた怖いと感じるのは、生きていたいと思うからだ。
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