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CAGE3:少年の記憶と過ち47
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そこはリビングでテレビやソファーが置かれていた。
その部屋の真ん中。
フローリングを赤黒い液体が水溜まりを作っていた。
その水溜まりは倒れている男性の身体から出来たもののようだ。
そして僕らに背を向けて立っているのは、夥しい返り血を浴びている暁斗くんだった。
その手には未だナイフが握られている。
「これは……」
藤堂さんは呟くと口許を押さえて部屋から出ていった。
「そんな…………」
そう呟いた僕の横で、遅かったかと言う倉橋さんの声が聞こえた。
「暁斗くん……」
僕の声にピクリと身体が反応して、ゆっくりとこちらを振り向く。
その表情はひどく怯えて見えた。
「あ………直兄…洋兄……」
僕らの姿を視界に入れて、途端暁斗くんの頬を一筋の涙が流れた。
その涙が何を意味するのかを僕は理解してしまって、自分の手を力一杯握り締めた。
そんな中、倉橋さんは暁斗くんに近付き、手に握られていたナイフを奪うとそれを投げ捨てた。
それからまだ小さな身体をゆっくりと包み込むように抱き締めた。
「あ……洋兄、汚れるよ。」
「………問題ない。」
「……俺、俺ねっ………洋兄と直兄に会いたくて…守りたくて……っ」
嗚咽を漏らしながら倉橋さんの腕の中、小さな声が語る。
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