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CAGE3:少年の記憶と過ち52
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直side
情報屋だと言った二人が部屋を出ていってから、倉橋さんの様子が明らかにおかしくなった。
正確には倉橋さんと睨み合っていた男の人が、何かを囁いていった後からだ。
声が小さくて聞き取ることは出来なかったけれど、あまり良くないことだと言うことは分かった。
上月さんの話に耳を傾けていたら、急に倉橋さんが身体のバランスを崩し、僕の方へと倒れ混んできた。
「ぇ………倉橋さん!?」
ずるずると力が抜けていっているようで、凭れ掛かってくる体重が増えていく。
「大丈夫ですか!?倉橋さん!」
応答はない。
その代わり、呻くような呼吸が聞こえるだけ。
「倉橋さん!倉橋さんっ!しっかりしてください!」
一瞬目があった時、何か言いたげに口が開かれたけれど、それが言葉になることはなかった。
完全に意識を失った倉橋さんを僕が支えきれるわけもなく、一緒になって床に転がる。
慌てて上月さんが近付いて、倉橋さんの身体を抱え起こしてくれた。
「倉橋さん!倉橋さん!」
呼び掛けてみても全く反応がない。
「ど、どうしましょう…どうすれば…」
「落ち着いて、とりあえずベッドに運ぶから。」
上月さんは倉橋さんを抱えて奥の部屋へと入っていく。
僕もその後に続いて、容態を調べてくれる上月さんを見つめた。
「どうですか…?」
「うん……過呼吸を起こしてしまったみたいだね。精神的問題みたいだ。少し休めば時期目が覚めるはずだよ。」
確かにベッドに眠る倉橋さんの呼吸は浅い。
傍らに寄って手に触れてみたらいつものような温かさはなく、酷く冷たかった。
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