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CAGE3:少年の記憶と過ち53
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「どうしてこんな……」
「さっき、蒼くんに何か言われていたみたいだったね。」
「はい……。声が小さくて聞こえませんでしたが……」
「蒼くんのことだ。何か確信に触れるようなことを言ったに違いない。」
やれやれと上月さんは額を押さえる。
「倉橋くんの目が覚めるまでここに居ていいから。」
「ありがとうございます。」
「いや……立花くん、君は大丈夫かい?」
言葉を濁して上月さんは僕を見る。
僕は倉橋さんの手を握ったまま微笑んだ。
「大丈夫です。倉橋さんが痛み分けしてくださいましたから。」
「そっか………暁斗くんのことは、こちらの責任でもある。彼が目覚めたら改めて謝罪するよ。事務所の方にいるから、何かあったらいつでも声掛けて。」
「分かりました。」
上月さんは申し訳なさそうな笑みを浮かべたまま、部屋から出ていく。
「うっ………」
ベッドの倉橋さんは時折呻くような声を上げ、苦しげな表情を浮かべていた。
「倉橋さん……」
握った手は強張っていて、全身に変な力が入っているようだ。
「…大丈夫ですよ。僕がついています。」
汗が滲む額にソッと口付ける。
「ずっと傍にいますから。だから早く戻ってきてください。貴方の痛み、僕にも分けてください。」
少しだけ、ほんの少しだけ眉間のシワが緩んだように感じた。
「ーー倉橋さん、大好きです。」
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