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CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー5
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「貴方が面倒見なさい。」
そう言って母親は小さい命を俺に手渡した。
どうやら育てる気はあまりないようだ。
それなら何故産んだ?
俺にしたって、コイツにしたって……。
「………名前は?」
「名前?何でもいいわ、貴方が決めなさい。」
腕の中へと視線を落とす。
何も知らない無垢な命。
柔らかな陽だまりのようだ。
「……日向(ヒナタ)、日向にする。」
俺の言葉なんてまだ分かるはずがないのに、それでも何だか笑ったような気がした。
それからは俺のすべての時間を日向に費やした。
ご飯のミルクも、トイレも、夜泣きの世話も全て俺がやった。
日向は希望だ。
俺の生きる希望。
日向が成長するにつれ、両親の暴力の矛先が向くようになる。
でもそんな事は………
俺と同じような思いはさせたくないから。
まだ力じゃ敵わない。だったら、俺の選択肢は一つだ。
「…俺が全部引き受けるから、日向には手を出さないでほしい。お願いします。」
初めて両親に頭を下げた。
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