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CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー13
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「ーー邪魔をしないで!」
逆上した母親は日向の首根っこを掴むと、その身体を勢いよく放り投げる。
小さな身体は放物線を描き、壁へと激突した。
頭から強くぶつけたように見えたその身体は床に横たわり、起き上がることはなかった。
「………日向?」
呼び掛けに反応もない。
「ーー日向っ!」
ピクッと指先の痙攣が見えるだけで、ぐったりとした身体は動くことはなかった。
「全く邪魔ばかりして。さあ、次は貴方の番よ。」
何て言う母親の言葉は耳をすり抜けていく。
俺の頭を占めるのは日向のことだけ。
「日向……日向……」
ほんの少しの距離のはずなのに、伸ばした手は届かない。
「状況分かってるの?自分の心配した方が得策よ?あの子もどうせ死ぬんだから放っておきなさい。」
死ぬ………それだけが頭に響いた。
日向が死ぬ……
いなくなってしまう………
だめだ………だってそしたらまた俺は一人になってしまう。
日向が居なくなってしまったら、俺はどう生きていけばいい……?
ピタリと冷たい刃が首に押し当てられるのを感じた瞬間、プツリと何かが事切れた音がした。
首に当たる刃を手で鷲掴みにした。
「なっーー!」
驚きに目を見張る母親も、切れて血を溢れ出す手もどうでもよかった。
薬の効果も切れてきたようで身体が軽くなっていく。
力一杯刃を握り、母親の手からそれを奪い取る。
次の行動なんて決まっていた。
「ーー洋?落ち着いて……」
焦る表情の母親を見ても何も感じなかった。
こいつはただ邪魔な存在なんだと、それだけを思った。
包丁の柄を握り直して、母親との距離をゼロに詰めた。
刃が食い込む感触はいやに生々しかったのを覚えている。
引き抜けば返り血を浴びた。
それでもどうでもよくて、まだ息があるのかともう一突き。
床に転がるのを確認して包丁を投げ捨てた。
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