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CAGE4:あの日の同罪ー倉橋 洋ー14
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日向に駆け寄って身体を抱える。
「日向…?日向…!」
返答もなけりゃ眉ひとつ動かない。
やけに冷たい体温だった。
どうしよう……
そうだ、とりあえず医者に……!
日向の身体を抱えあげ、俺は家を飛び出した。
家から少し先、個人経営をしている医者がいるのを知っている。
辺りは真っ暗で何時なのかも分からない。
幸い人がいないから好奇な注目を浴びることはなかった。
必死に走ってたどり着いた病院の電気はすっかり消えている。
それでも頼れるのはここしかない、とドアを叩いた。
「すみません!助けてください!弟が重症なんです!お願いします!助けてください!!」
どんどんっと何度かドアを叩いていたら、ゆっくりとそれが開き、中から若い男性が姿を見せた。
「ん?急患かい?」
男は眠そうにしていたが俺の姿を見ると、ぎょっとした表情になる。
「君、その血は……!?」
「これは俺のじゃないから…それより弟を助けてください!」
抱えていた弟を差し出せば、男性は日向を受け取り様子を見ると少し目を細め、とりあえず中へ、と誘導してくれた。
男性は奥の診察室であろう部屋へ入ると日向をベッドへ横たえた。
それから俺へと振り返る。
「君は本当に怪我していないんだね?」
「平気です!俺のことはいいから早く弟を診てやってください!」
一刻を争うのだから俺なんかに構わないでほしい。
ところが男性は弟に振り向かず、俺の目の前でしゃがみこんだ。
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